“声で操作”が運転席を変える――CESで見えたミライのクルマ(2/3 ページ)
中でも半導体メーカーのQualcomm(クアルコム)がコネクテッドカー向けチップとして展開する「Snapdragon 820A」が実現するデジタルコックピットのコンセプトが面白かった。デモカーはCadillac(キャデラック)の「ESCALADE」(エスカレード)。運転席のインパネやセンターコンソールの全面が4枚の鮮やかなディスプレイになっている。外側からよく見ると、左右のサイドミラーも従来の鏡ではなくセンサー(カメラ)になり、ディスプレイ化したバックミラーや、その他のマルチディスプレイの画面で確認する仕組みだ。
クアルコムの担当者は「これから自動車にはますます多くのディスプレイが搭載されることになるだろう」と説く。その車載マルチディスプレイシステムを一括して制御するのが、高い性能を持つCPUにGPU、DSPなどの基幹モジュールを統合したSoC(System on a Chip)、Snapdragonシリーズというわけだ。
クアルコムは車載向けにセルラー通信やWi-Fi、Bluetoothといった無線コントローラーを統合した高速LTEモデムチップも製品化。今後の車載インフォテインメントシステムは、クルマとクラウドによる1対1の関係だけではなく、クルマとクルマ(V2V)、クルマと道路に信号機やパーキングなどのインフラ(V2I)が互いにコミュニケーションをとりながら安全、快適な走行を担保する「V2X」(Vehicle to Everything)通信で得た情報のディスプレイという役割を担うことになる。
クアルコムのブースでは、モバイル用の通信機能を搭載したコネクテッドカーと交通インフラである信号機をつなぎ、赤信号の際に自動車のドライバーが間違えて発進しようとした際、フロントのディスプレイでアラートを発して事故を未然に防ぐセルラーV2X技術の展開事例を紹介した。
しかし、コネクテッドカーのインパネがディスプレイに埋め尽くされても、たくさんの情報が氾濫するだけではドライバーや歩行者の安全は守れない。クアルコムもまたコネクテッドカーの車載インフォテインメントとして最適なユーザーインタフェースの形を、GoogleのAndroid OSやBlackBerryの「QNX」、トヨタ自動車も参画する「AGL」(Automotive Grade Linux)といったオートモーティブ向けのプラットフォームと一緒に開発を進めている段階だ。
CESのブースでは同社の車載向けプロセッサ「Snapdragon 602A」を搭載するインフォテインメントシステムに、Googleと共同で開発しているオートモーティブ向けプラットフォームのプロトタイプを組み込んで展示していた。その完成度の高さを見ると、実際のクルマに実装される日も近いのではないかと思う。
同様のデジタルコックピットは、Samsung Electronics(サムスン)とHarman International(ハーマン)のタッグも披露していた。17年にハーマンがサムスンのグループに合流して以降、コネクテッドカーに向けた技術開発が着々と進み、良いシナジー効果が生まれているという。もともとハーマンは車載インフォテイメントのための通信技術やサイバーセキュリティに関連する豊富なノウハウを蓄積してきたエキスパートだが、そこにサムスンの液晶や有機ELといったディスプレイ技術を組み合わせたことにより、視認性が高く低消費電力で駆動できる次世代のインフォテインメントも商品として形になりつつある。
自動運転車両を商いに活用するという提案
自動運転の技術が成熟してくると、クルマの空間そのものをさまざまな用途に活用するアイデアも出てくるようだ。CESではいくつかの企業がリードする形で、自動運転車を前提とするビジネスモデルを提案していた。
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