人の頑張りだけではもう無理? 増えるIoT機器のセキュリティ管理、助っ人はAI(2/2 ページ)
それは脅威の特徴を学習してクラウド上に蓄積するだけでなく、トラフィックを解析して「そのネットワークにとって正常な状態とは何か」を見いだそうとしている点です。つまり、「どれが悪意ある通信か」だけでなく、「どれが正しい通信か」も判別するという両面で機械学習を使い倒そうとしています。
人間の手に余るIoTやICSのセキュリティ管理はAIに
Fortinetのジョナサン・グエン・ドゥイ氏(ストラテジー&アナリティクス担当バイスプレジデント)はインタビューに対し「伝統的なITに比べてIoTの世界は非常に複雑化しており、展開の速度に追い付けていない」と述べました。この状況下で「IoTやICSのネットワークトラフィックをAIで分析して定常状態を把握し、本来通信すべき正当なサーバと通信しているか、通常と異なる振る舞いがないかを見ていくことで、外部からの不正アクセスによる攻撃はもちろん、設定ミスに起因する事故も防ぐことができるだろう」といいます。今後、文字通り桁違いの数に増えていくIoT機器を把握し、解析するのは、人間の頭と手だけでは難しいというわけです。
「機械学習やAIを使わないと、デバイスの変化を把握し、インフラ全体を可視化する作業は間に合わない。なぜなら、われわれを取り巻くIoT機器の数は日に日に増加しており、それらが生成するデータは膨大な量に上るからだ。大量のデータを解析するにはAIに処理させるのが一番だ」(グエン・ドゥイ氏)。その結果として、具体的な意思決定に必要な情報を人間に提供するのが重要な役割になるといいます。
既に同社はICS分野向けに、Nozomi Networkという企業と提携してそうした仕組み作りに取り組んでいます。Nozomi Networkが提供する「SCADAguardian」によって産業用デバイスの挙動をプロファイルし、通常とは異なる挙動を検知するとFortinetのセキュリティ製品と連携して、通信の切断などを行う仕組みです。「多くの企業は、情報システムとICSは直接つながっておらず、『エアギャップ』があるため安全というが、実際にはそうなっていない」とグエン・ドゥイ氏は指摘。あらためて棚卸しを行い、現状を把握した上で確実にセグメントを分け、管理していくべきだと述べました。
その前提として、後からセキュリティを追加するのではなく、はじめから埋め込むアプローチが重要ともいいます。機械学習によって正常か異常かを区別するだけでなく、その後の対処の「自動化」も可能になり、ひいては人間に頼らずとも膨大な数の機器を保護できると期待しているそうです。
ちなみに、ITと、ICSやOT(Operation Technology:制御技術)の間には、機能安全の考え方をはじめさまざまなギャップが存在しており、一概にサイバーセキュリティの文脈を押し付けるわけにはいきません。しかしこの点に関してグエン・ドゥイ氏は少し楽観的なようで、「昔は、ネットワーク担当とセキュリティ担当は分かれていた。だが今は、両者がともに動くようになり、NOCとSOC(※)が一体化している。それと同じことがITとOTでも起こらなければいけないし、起こるだろう」とも話しています。
(※)NOCとSOC:ネットワークオペレーションセンターとセキュリティオペレーションセンター
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
3
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
4
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
9
松本デジタル相、24.6万件漏えい可能性について説明 「既知の脆弱性を対応前に悪用」
-
10
デジタル庁に不正アクセス、個人情報24.6万件漏えいか 各府省庁の職員情報など
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR