なぜ地方のクリーニング屋で機械学習? 「無人店舗作りたい」 たった1人、独学でAI作る副社長の挑戦(1/2 ページ)
「中小企業でお金もない、人もいない。ここ10年でIT化に取り組んできたが、今ある課題や業界の将来を見据え、今はAI(人工知能)を自作している」──福岡県田川市でクリーニング店を8店舗展開するエルアンドエーの田原大輔副社長はこう話す。同社はスーツやズボンなどを判別する画像認識システムなどを導入。人材が不足するクリーニング業界の中で業務効率化を図るためいち早くIT化に取り組み、いずれは無人店舗のオープンを目指す。
IT化に取り組んだ10年
電話からSkypeによるビデオチャットへ、メールからチャットワークへ、ExcelからGoogleスプレッドシートへ──2008年ごろから10年近くクリーニング業務のIT化を進め、15年11月にGoogleの機械学習用オープンソースライブラリ「TensorFlow」(テンサーフロー)が公開されてからは、AI開発にも本格的に着手。現在は(1)RPA(Robotic Process Automation)とチャットbotを使って、報告書の作成などを簡易化する自然言語処理系のAIと、(2)画像処理とディープラーニングを組み合わせ、衣類の認識や分類をする画像処理系のAI開発に取り組んでいる。
田原副社長にエンジニアリング経験はなく、プログラミングや機械学習などは全て「YouTubeや本を見ながら独学でやってきた」という。田原副社長は「PCが使えず、ガラケーを使っているような70歳のおばちゃんでもこれらのツールを使って仕事をしている」と笑うが、年齢によって従業員のITリテラシーがバラバラで苦労も多かったと振り返る。
「メールを使うと下書きが20件くらいたまったり、CCの意味が分からなかったり。ファイル共有にGoogleドライブを使ったり、数字の管理にExcelを使ったりしても、高齢だと分からない人もいる」(田原副社長)
従業員全員のITリテラシーアップを図るのは難しい――そう考えた田原副社長が目を付けたのがAIだった。意識したのは、「触らないユーザーインタフェースとユーザーエクスペリエンス」。13年ごろから自社で使う専用アプリの開発を進め、数回のボタン操作で済む業務アプリを複数作成。そして、現在も開発を進めるRPAとチャットbotの組み合わせや、画像認識システムを独学で開発し始めた。
やって分かった「機械学習の壁」
17年11月には、TensorFlowを活用した独自の画像認識システムのβ版が完成。実店舗での実証実験を始めている。店舗内に設置したWebカメラが衣類を捉えると、それがスーツなのか、ズボンなのか、ワイシャツなのか、などを24カテゴリーに分けて自動で判別するという。田原副社長は「とにかくデータが重要で、取り扱いが多いスーツやズボン、ワイシャツなどは約99%の精度で認識できるが、事例の少ないダッフルコートなどはまだ判別が難しい」と話す。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
6
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
7
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR