「傷が浅いうちに」 サイバーエージェントが参入断念、仮想通貨交換業の難しさ
「リスクがどこまでか見えない。傷が浅いうちというか、ほとんど傷を追っていない状態で撤退するのが賢明だろう」――サイバーエージェントの藤田晋社長は4月26日、同社の決算説明会で、仮想通貨交換業への参入を断念することについて、そう話した。
2017年に子会社、サイバーエージェントビットコインを設立し、18年春をめどに仮想通貨取引所を開設すると表明したが、18年1月にコインチェックから巨額の仮想通貨「NEM」が流出したトラブルなどを受け、藤田社長は「(サイバーエージェントが展開する)他の事業と比べると、引き受けてはいけないリスクがある」と考えたという。
「そもそも参入が遅い上、金融庁の審査が厳しくなっている」(藤田社長)。仮想通貨取引所は、改正資金決済法に基づき、金融庁の登録を受ける必要があるが、コインチェックの流出トラブル以降、より審査が厳格化したとみられ、登録申請を取り下げる企業も相次いでいる。藤田社長は「リスクを減らそうと、自社開発の体制を整えようとするほど、さらに参入が遅くなる」と話す。
一方、独自の仮想通貨の発行を検討する。具体的な内容は決まっていないが、「今後の仮想通貨の動向を注視しながら、サイバーエージェントのゲーム事業、インターネットテレビ局『AbemaTV』などのマネタイズの1つになればと研究を進めている段階」(藤田社長)という。
「AbemaTVには、引き続き先行投資」
同日、サイバーエージェントが発表した17年10月~18年3月の連結業績は、売上高が2074億円(前年同期比15.3%増)、営業利益が197億円(同37.9%増)と増収増益。純利益は42億円(同61.6%増)だった。好調な広告事業、ゲーム事業で利益を積み上げ、AbemaTVなどメディア事業に投資し、中長期の柱に育てる――という戦略に変わりはない。
藤田社長が「好調な伸び」という広告事業は、これまでネットに広告を出稿していなかったナショナルクライアントを取り込むなどし、売上高は1187億円(前年同期比17.1%増)。また、横ばいが続いていたゲーム事業は、2月に投入したスマートフォンゲーム「プリンセスコネクト!Re:Dive」のヒットが貢献し、売上高は740億円(同5.2%増)と増収。今後も継続的に新規タイトルのヒットを狙う。
一方、通期で200億円の投資を予定しているAbemaTVは、開局2周年でアプリが2900万ダウンロードを突破し、MAU(月間アクティブユーザー数)は1100万の大台に乗った。ユーザーの総視聴時間は、5072万時間(18年3月時点)と順調に伸びているという。
AbemaTVは、元SMAPの「新しい地図」が出演する「新しい別の窓」など、ユーザーの定着を狙うレギュラー番組をラインアップする他、10代女性ユーザーを対象にした恋愛リアリティーショーなどで、ユーザー数を伸ばす。
「AbemaTVは、まだ視聴数を稼ぐ段階」(藤田社長)というが、収益の多角化も進める。広告主のニーズに合わせ、スポットCM、1社提供CMなどを広告商品を用意する。18年2月には転換社債400億円を発行し、AbemaTVのマネタイズに寄与する企業のM&Aに充てる考えだ。
藤田社長は「AbemaTVには、引き続き先行投資する。パイオニアとしてビジネスモデルを確立できるか勝負するため、しっかりとやり切る」と妥協しない姿勢を見せた。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR