連載:ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ
スピーカーの音でHDDが故障 「ブルーノート攻撃」で考える物理的対策(2/3 ページ)
大きな音はHDDに悪いという事実は、以前も指摘されていました。今回ブルーノート攻撃を取り上げた、セキュリティ企業のESETは次のような例にも触れています。
2016年には金融機関ING Bankのデータセンター(ルーマニア)で、消防訓練の際、消火ガスが勢いよく噴出した際の大音量が原因となって数十台のHDDがクラッシュし、ATMやインターネットバンキングといった銀行業務に影響が生じるという出来事がありました。
また、今となっては懐かしい米国のソフトウェア開発会社Sun Microsystemsの技術者が、サーバの前で大声を出すだけでも、ノイズによってレイテンシ(遅延)が発生することを示した動画も紹介されています。
今回のブルーノート攻撃は、ターゲットとなった端末を大きなノイズでクラッシュさせて正常な動作を妨げますが、情報を盗み取る目的でノイズを利用する攻撃もあります。PC本体やキーボード、ディスプレイが発する微弱な電磁波を受信して波形を解析することでどんな文字列が入力されているかを把握し、パスワードなどの情報を盗み取る手法は「テンペスト攻撃」と呼ばれ、2000年代始めから時折指摘されてきました。
他にも、超音波を用いたり、あるいは機器が発する「熱」の変動を測定したりして、PCから情報を盗み出す攻撃方法が指摘されています。攻撃者とターゲットとの間にスマートフォンやスピーカーを介することで、送受信をより容易にする方法を指摘した研究者もいました。
PCもIoT機器も、形ある「モノ」である以上、自身が発する振動や音、熱などを完全になくすことはできません。根本的にゼロにはできないのですから、シールド被覆を施すなどして漏れ出るノイズを減らすか、耐ノイズ性の高い部品を採用するといった対策でリスクを緩和するしかないでしょう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
ITの過去から紡ぐIoTセキュリティ
家電製品やクルマ、センサーを組み込んだ建物そのものなど、あらゆるモノがネットにつながり、互いにデータをやりとりするIoT時代が本格的に到来しようとしています。それ自体は歓迎すべきことですが、IoT機器やシステムにおける基本的なセキュリティ対策の不備が原因となって、思いもよらぬリスクが浮上しているのも事実です。 この連載ではインターネットの普及期から今までPCやITの世界で起こった、あるいは現在進行中のさまざまな事件から得られた教訓を、IoTの世界に生かすという観点で、対策のヒントを紹介していきたいと思います。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR