年間2万円で食べ放題、話題のラーメン凪 AIで「顔パス」注文システムの狙いは(1/2 ページ)
食券を都度購入しなくても、定額の会員登録をすると店頭に備えられたiPadがユーザーを認識し「顔パス」でラーメンを注文できる。しかもいまなら年額2万円──煮干ラーメンを主に提供する「すごい煮干ラーメン凪」を運営する凪スピリッツが、田町店でこんな施策を実施している。
同社はこの施策を大々的に公表していなかったものの、同店を利用したユーザーが1月にTwitterに投稿して話題になった。ラーメン店が、AI(人工知能)による顔認証機能を取り入れた理由とは。田町店を直撃取材した。
年間2万円で食べ放題の破格キャンペーン
ラーメン凪 田町店は、2018年12月下旬にオープンしたばかりの新店舗。駅から近く、オフィスや大学に囲まれた場所に位置する。
店舗で取材に対応してくれたのは、同社店舗開発部の牧野篤本部長。取材が始まるまで、厨房でお客さんにふるまうラーメンを作っていた。
「立ち上げたばかりなので、私も厨房で切り盛りしているんです。もう少ししたら次の新店舗の厨房に立ちますよ」(牧野さん)
牧野さんに、早速「顔パス」のシステムを見せてもらった。
店舗入口にある食券販売機の上を見ると、iPadが設置されている。そのiPadを操作してニックネーム、生年月日、電話番号、顔写真を登録して会員登録を行う。来店時の顔認証や注文もiPad上で行える。
iPadのフロントカメラで顔の正面、左30度、右30度の3枚の写真を撮影すると顔登録は完了。以降、iPadで顔認証すると4種類のメニューから好きなものを注文できる。iPadから注文すると、会員用のレシートが発行される。これを店員に渡して注文完了だ。
料金は定額制で、通常価格では1カ月8000円(税込、以下同)、3カ月2万2000円、3カ月1万5000円(利用できる時間は午後2時~午後10時)という3つのプランを用意。先着100人までは年間2万円で食べ放題のキャンペーンも実施していた。プランの支払いはその場で前払いだ。
ラーメン凪の1食の価格は1000円前後であることから、年に20食、つまり2週間に1回程度の頻度で食べれば元が取れるという破格の設定であることも反響を呼んだ。
「実は、プレスリリースは出そうと思っていたんですが、店舗業務が忙しくてなかなか出せないでいたんです(取材時点。2月12日にプレスリリース発表)」と牧野さん。しかし、取材した1月末時点で既に年間2万円キャンペーンの会員はほとんど満員だという。
「店頭で知って登録してくれる人や、Twitterの口コミから登録してくれた人が多いみたいです」(牧野さん)
常連さんを可視化 感謝言いやすいように
ラーメン凪が「顔パスシステム」を始めた理由は何か。iPadを用いた注文システムについては、以前から一部店舗で利用していたという。
「大宮店で3年ほど前(15年12月)から、『空飛ぶラーメン』という取り組みを始めています。カウンターに備えたiPadから注文をいただくと、回転寿司のようなレーンでお客さまの前にラーメンが届くというものです。このときにiPadを利用していたので、今回もiPadを採用しました」(同)
お客さんの顔をiPadのカメラで顔認証するというアイデアを発案したのは、ラーメン凪創業者の生田智志社長だ。
システムは空飛ぶラーメンと同様に、開発会社エクスウェアによるもの。AIによる顔認識の精度は「サングラスやマスクをしていなければ問題ない」(牧野さん)程度で、記者が試した際には店に差し込む西日が強く、顔が白飛びしそうな状況だったがそれでも認証できた。
「お客さまにリピートしていただくために考えた施策だと聞いています。顔パス会員に登録していただいた方はいわば『常連さん』になるわけです」(牧野さん)
アルバイトで働く店員もいるため、働き始めでは常連の顔を覚えていないこともある。しかしこのシステムであれば、専用レシートを店員に渡すことで注文完了となることから、このときに会員だと分かる。
「すると、あいさつも『ありがとうございます』から『いつもありがとうございます』に切り替えられます」(同)
定額制のため、客側としても店舗に足が向きやすく、店舗側としてもサービスの向上につなげられる。ラーメン凪はこうした施策を打ち出していくことで、多くのラーメン店がひしめく都心でも差別化していきたい考えだ。
ラーメン凪は、「顔パス」制度の全店展開を予定している。
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