英量子ベンチャーが日本進出 量子暗号デバイスやプログラミング基盤を展開
英ケンブリッジ大学発の量子ベンチャー企業、Cambridge Quantum Computing(以下、CQC)は12月19日(日本時間)、日本市場に本格参入すると発表した。同社の日本法人を通じ、量子暗号デバイスの販売や、複数社の量子コンピュータで実行できるプログラミングプラットフォームを展開することで、パートナー企業と共同研究を進めたい考え。
CQCは、英ケンブリッジ大学のアクセラレーションプログラムで2014年に設立された量子ベンチャー。ケンブリッジ大学出身の研究者を中心に約80人の従業員を抱える。日本からは化学メーカーのJSR(東京都港区)が出資している。
主に量子アルゴリズムなど量子関連のソフトウェアを開発しているが、19年3月には量子を組み入れた暗号関連のハードウェア「IronBridge」を発表し、実証実験を進めている。
日本に本格参入するのは、「量子技術に関心のある企業が多く、基礎技術のR&Dにも世界トップレベルで投資をしてきているから」とCQC日本法人の結解秀哉社長は話す。
「ベンチャーとして、日本企業とコラボレーションしていくことはビジネスチャンスだと感じている」(結解社長)
CQCが日本で注力するのは、(1)IronBridgeの販売・共同研究、(2)量子化学アプリケーションの展開、(3)量子機械学習の展開──の三本柱。
IronBridgeはレーザー光で4量子ビットを生成・操作できるデバイス。量子の性質を用いた乱数生成で量子コンピュータでも解読が難しい「耐量子コンピュータ暗号」を生成できる。量子ビットに光を採用しているため、極低温に冷やす必要がある「超電導量子ビット」とは違い、室温で動作する。冷凍機が不要なため、マシンのサイズはサーバラックに収められる程度だ。金融機関など、セキュリティが重要となる企業への販売を見込む。
量子化学や量子機械学習を実行できる環境として、CQCは「t|ket>」(ティケット)というプラットフォームを用意している。ティケットはPythonなどのプログラミング言語で量子コンピュータ向けプログラムを記述できる環境で、米GoogleやIBM、Microsoft、Intel、IonQ、Honeywellといった各社が開発する量子コンピュータ向けにコードを自動的にコンパイルできる。
CQCのデニース・ラフナーCBO(最高事業責任者)は、「各社の回路に最適化できることや、回路チップ上の量子ビットのパフォーマンスを見て高速な量子ビットを選べるのが、競合プラットフォームに対するティケットの強みだ」と語った。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
なぜ酒蔵の許諾なしに? 「VTuberコラボ日本酒」騒動、主催者が経緯説明 仲介者による調整で「準備進んでいると認識」
-
2
「食事量は1日1200kcal以下、でも肥満」な人を14日間追跡調査 痩せない理由は……米コロンビア大などの研究
-
3
本物そっくり“AI生成レシート“が経費精算の脅威に マネフォ「自力で見破るのは難しい」 企業はどう備える?
-
4
かっぱ寿司「配布前のコラボグッズ、フリマで買わないで」 プリキュアコラボ発表日に注意喚起
-
5
「菜の花がおかしい」――イラストレーター制作うたうマラソン大会ポスターに指摘相次ぐ 事務局がAI使用明かす【訂正あり】
-
6
「ペンギンを返して」→「3匹全部採用して」 批判殺到のSuica新キャラ、ファンアートが空気を変えた? SNSの声
-
7
藤井風のリサイタル、公式サイトがインターネット老人会すぎると話題 公民館のチラシみたいだけど東京ドーム開催
-
8
「iPhone Duo」純正ケース話題、「面白いけど高い」……1万4800円と2万4800円
-
9
松本デジタル相、24.6万件漏えい可能性について説明 「既知の脆弱性を対応前に悪用」
-
10
デジタル庁に不正アクセス、個人情報24.6万件漏えいか 各府省庁の職員情報など
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR