Oracle Cloudが丸ごと顧客のデータセンターで動く 野村総研も取り入れた、新たなITインフラの実力とは(2/3 ページ)
他社の取り組みとの違いは?
ユーザーの近くにクラウド技術を置く他社のソリューションには、米Amazon Web Services(AWS)の「AWS Outposts」や、米Microsoftの「Azure Stack」がある。
AWS Outpostsは、AWSをオンプレミスで実行するもので、AWSが設計したハードウェアに一部のサービスを搭載し、稼働できる。動かせるのは、「Amazon EC2」「Amazon EBS」「Amazon EKS」のようなコンテナベースのサービスや、「Amazon RDS on AWS Outpost」 のようなデータベースサービスだ。
Azure Stackは、データセンターやエッジなどでハイブリッドクラウドを構築して実行するための環境だ。具体的には、エッジで機械学習やIoTソリューションを実現する「Azure Stack Edge」、オンプレミスでクラウドサービスを動かせるようにし、自律型のプライベートクラウドを実現する「Azure Stack Hub」、ハイパフォーマンスのワークロードに対応するプレビュー版の「Azure Stack HCI」を動かせる。
AWS OutpostsとAzure Stackはいずれも、パブリッククラウドの特定のサービスを動かせる環境を切り出し、顧客のデータセンターに持ち込むものだ。一方、OracleのDedicated Region Cloud@Customerは、クラウドサービスのインフラそのものを顧客のデータセンターで動かせるようにするものであり、サービスの方向性は異なる。
「AWS Outpostsが対応するデータベースは、MySQLとPostgreSQLだけ。RedShiftもなければ、AuroraもDynamoDBもない」とエリソン氏。AWSのRedShiftと比べると、Exadataを@Customerで動かした場合は、50倍ほど低いレイテンシになると同氏は自信を見せる。
野村総合研究所がDedicated Region Cloud@Customerの世界初の事例に
このDedicated Region Cloud@Customerの導入を、世界で初めて決定したのが野村総合研究所だ。野村総研は今後、金融業向けSaaS型ソリューションをDedicated Region Cloud@Customerから新たに提供する。
野村総研はこれまで、10年ほどにわたり、3つの自社データセンターから金融業向けにITソリューションとASP(アプリケーションサービスプロバイダー)型サービスを展開してきた。「これは国内屈指の規模で、3万物理コア、ストレージ容量10PBを越える」と言うのは、野村総研 常務執行役員の竹本具城氏だ。
このサービス群の基盤となるインフラを整備するため、野村総研では400人ほどのエンジニアがサービス運用に従事。過去数年間にわたって、データセンターなどに数百億円規模の投資を行ってきた。2012年からはプライベートクラウド環境を構築し、14年にExadataを導入。「Exadataがサービスを支えている」と竹本氏は言う。
そんな同社は19年2月、公式発表に先駆け、Oracleと日本オラクルからDedicated Region Cloud@Customerを紹介された。その後6カ月ほど検討し、採用を決めたという。採用の決め手は、Exadataを使った可用性の高いインフラを得られることに加え、Exadata以外のOracle Cloudのサービスを利用できることだ。
この他、パブリッククラウドのアジリティの獲得とコスト効果が期待できること、金融機関が求めるネットワーク環境の統制やガバナンスの確保ができること、インフラ運用はOracleが行うため、エンジニアの業務をより戦略的な領域にシフトできること――なども採用に至った要因だという。
野村総研は同サービスを使い、自社データセンター内にクラウド環境を構築した。これにより、従来は「SOC2」や「FISC」などの基準に則して整備してきた高度な金融業向けの統制環境を維持しつつ、Oracle Cloudの各種サービスやツールを活用できるようになった。今後は顧客へのさらなる貢献ができると期待しているという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
6
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
7
携帯各社、熊本の一部で通信障害 震度7の地震で 他社回線につながる「JAPANローミング」開始【追記】
-
8
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
9
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
10
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR