第1回 AI・人工知能EXPO【秋】
「シンギュラリティはSFめいた話」──人工知能学会会長が切る“間違ったAIのイメージ”と正しいAI研究の姿(1/3 ページ)
「シンギュラリティはSFめいた話だ。そもそも“知能”が何を示すのか、定義せずに語っても意味が無い」──人工知能学会の野田五十樹会長は、10月28日に開催された「第1回 AI・人工知能EXPO【秋】」(幕張メッセ)の特別講演で、現実の研究からかけ離れた“AI”のイメージを否定した。
野田会長は「ディープラーニングは万能の関数近似ツールである」ともいう。これまでのAI研究の歴史と、今のAIの研究テーマについて野田会長が解説した。
AIが目指していたのは「神経系の模倣と知能の再現」
近年の人工知能ブームは「第3次AIブーム」と呼ばれている。ディープラーニングなどの技術が注目されているが、広い意味の「AI」はより幅広く、長い歴史を持つ。
人の能力を機械で置き換えるという意味の「AI」を作る試みは古くからさまざまな形で試みられてきた。人の計算能力を代替するという意味においては、コンピュータもその一形態といえる。現代の技術につながる「AI」の由来は約60年前にさかのぼる。1956年に米国で開催された研究発表会で「Artificial Intelligence」(人工知能)という言葉が初めて使われたとされている。
その後60年代、80年代と二度の人工知能ブームを経て、2000年~2010年代に第3次AIブームが到来し、現在に至る。過去のAIブームは新たな技術コンセプトの発見によって起き、AIの将来性に期待した多くの研究者がこの分野の研究に参加した。ただし、ブームの後に技術的な限界が判明して、「幻滅期」、つまり冬の時代が訪れるのが過去2回の流れだった。
そもそもAIが目指していたものは「人類の神経系」を機械で模倣し、人間の知能の再現に挑むことだった。一方、目下の第3次AIブームで注目されている技術「ディープラーニング」は人間とはかけ離れたシステムとなっている。それでも実用性を備えていたことから、現代に欠かせないソフトウェア技術の一つとして、あらゆる分野で応用されている。
ディープラーニングは「万能の関数近似ツール」
現代ではさまざまなシステムにディープラーニング技術が組み込まれ、「AI」の代名詞的存在になっている。例を挙げれば、LINEで自動返答してくれるチャットbotや、「Google 翻訳」のような機械翻訳ツール、スマホのポートレートモード、人を検知して体温を表示するカメラ、自動運転車など、とにかく幅広い分野で活用されている。
ディープラーニングは、機械学習の手法の一つだ。機械学習は、人工ニューラルネットワーク(神経回路網)を生成するメカニズムのこと。野田会長は「ニューラルネットワークの機能を一言で定義すると『万能の関数近似ツール』である」という。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
2
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
3
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
4
GMO、PCのバックアップと電源オフ呼びかけ VPS利用者に きょう正午の攻撃予告受け
-
5
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
6
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
7
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
8
Apple、「iPad mini」を大幅刷新 8.5インチOLEDとA20 Pro搭載、防水にも対応 11万9800円から
-
9
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
10
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR