iOS音楽アプリプロデューサーがM1 Macを使ってみたら
M1 Macは敗れたままなのか? 音楽制作プラグインの負荷を再検証した(2/3 ページ)
今回もM1 Mac miniが苦汁をなめる結果に
今回の検証の焦点となる、リバーブのプログラミング方式の差異について説明しておこう。リバーブプラグインは、大きく分けて2種類ある。(1)アルゴリズム型と(2)コンボリューション(サンプリング)型だ。アルゴリズム型は、その名が示す通り、さまざまなアルゴリズムを元にアンビエント音響をモデリングすることで、残響効果を生み出している。
その一方で、コンボリューション型は、音響空間におけるインパルス応答のサンプリングデータを記録し、そのデータを基にして残響効果をモデル化する。実際、ホールなどで、インパルス(継続時間が非常に短い音)を発生させ、その空間の残響の特徴をマイクで収録しておき、そのサンプリングデータと信号を「コンボリューション=畳み込み演算」処理することで残響効果を再現する。
Fabfilter Pro-Rはアルゴリズム型で、Space Designerは、コンボリューション型である。一般論として、アルゴリズム型に比較して、コンボリューション型の方がメモリを多く消費するといわれている。前回のSpace Designer対決において、32GBメモリのIntel MacBook Proが勝利したのは、搭載メモリの差異が影響したとの仮説を立てたわけだ。
ならば、形式が異なるSpace Designerではなく、Fabfilter Pro-Rと同じアルゴリズム型のChromaVerb(Apple純正)でテストして、前回同様メモリの少ないM1 Mac miniが勝利したら、前回の謎を呼ぶ結果は、プログラミング方式の差異によるものだと考えることができる。
しかし、結果はその仮説を裏切るものだった。ChromaVerbによる対決でも、M1 Mac miniが負けてしまったのだ。Intel MacBook Proでは、15トラック前後で「システムが過負荷です」アラートが出るのに対し、M1 Mac miniでは、8トラック前後で、同様のアラートが出てしまう。場合によっては、8トラックでの再生中でもアラートが出ることがあった。
それにしても、Logic Proに付属のChromaVerbにおいても、M1 Mac miniが負けてしまったのは、ちょっとばかりショックだった。アクティビティモニタを眺めてもその原因が分からない。そのようなわけで、最初に結論づけたように、前回のFabfilter Pro-R対決でM1 Mac miniが勝利したのは、Fabfilter Pro-R自体が秀でた能力を保持していることが大きく影響していると判断したわけだ。価格もプラグイン単体で2万8600円と、Logic Pro本体の2万4000円より高額なので、さもありなんとも言えるのだが……。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
iOS音楽アプリプロデューサーがM1 Macを使ってみたら
M1プロセッサを搭載したMacを音楽方面に使った場合どうなるかを、自らiOSアプリを開発し、レーベルも運営している山崎潤一郎さんが検証していく。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
5
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
6
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
-
7
NVIDIAやMicrosoftなど30社超、オープンAIの防御ツール共同開発の「Open Secure AI Alliance」設立
-
8
「あ、その情報メモしたい!」を叶えるワイヤレスイヤフォン、Nothing「Ear (3a)」
-
9
有識者はGoogleやX、Meta、ドワンゴを名指しで批判……総務省、偽広告や誹謗中傷に発信・拡散前の対策求める
-
10
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR