iOS音楽アプリプロデューサーがM1 Macを使ってみたら

M1 Mac、演算パワーを生かしたい物理モデリング音源なら万全か?(1/2 ページ)

 M1 Macと音楽系クリエイティブワーク周辺の話題を紹介する連載の第5回目は、ソフトウェア音源にフォーカスした話をお届けする。筆者のApple Siliconマシンは、Mac miniの8GBメモリ、256GB SSDという最安値構成モデルだ。M1 Mac miniの導入を機に、サンプリング型の音源からモデリング型に切り替えた、という内容だ。ただし、ドラム音源の切り替えは見事に失敗に終わってしまった。

M1 Macにモデリング型音源は、最適なのか?

 ピアノ音源を、これまで利用していたサンプリング型からモデリング型に移行した。これまでピアノ音源は、主にサンプリング型であるSynthogyの「Ivory II」を利用していた。Ivory IIは、音源をフルインストールすると80GB以上、DVD-Rにして11枚という、暴力的ともいえるストレージ容量を要求される。とてもではないが、内蔵SSDが256GBの我がM1 Mac miniには、荷が重すぎる。

photo Synthogyのピアノ音源「Ivory II」は、DVD-Rにして11枚、フルインストールすると80GB以上の容量を誇る。256GB SSDへのインストールはためらわれる

 Ivory IIは、ディスクのアクセス速度にシビアだ。同時発音数が多かったり、リアルさを追求してピアノ内部の共鳴パラメーターを調整していると、外付けディスクの場合、音源ファイルへのアクセスが追い付かずノイズが出る場合が多々ある。外付けのストレージへの音源インストールは避けたい。

 一方のモデリング型であれば、サンプリング型と比較して、ストレージ容量の節約が可能だ。リアルタイムの物理演算パワーで音を奏でるモデリング型の場合、それなりのCPUパワーを必要とするが、M1 Macであれば、余裕をもって駆動できる可能性がある。

 そこで、モデリング型ピアノ音源として定評のあるMODARTTの「Pianoteq 7 Pro」に全面的に移行する決断をした。Pianoteq 7 Proのインストールに必要な容量は、50MBとIvory IIの1600分の1で事足りるし、M1 Macのパワーであれば、高いサンプリング周波数で鳴らすこともできると考えたのだ。狙いは見事的中。次に説明するように、気持ちよく鳴らすことができた。

photo MODARTTの「Pianoteq 7 Pro」であれば、ストレージ容量は、50MBとIvory IIの1600分の1でOK

 筆者は、これまで上記のIvory II以外にも、Pianoteqの1つ前のバージョンをiMac 2017 (4.2GHzクアッドコアIntel Core i7、32GBメモリ)にインストールしたLogic Proで鳴らしていた。しかし、遅延を嫌って少なめのバッファサイズ、192KHz/24bitのハイレゾ音質で鳴らすと、CPUの処理が追い付かず、ブチッブチッブチッと醜いノイズが連続的に出ていた。仕方がないので、48~96KHz/24bitでの録音・再生を行っていた。

photo 192KHz/24bit設定にして、iMac 2017で再生すると、ブチッブチッブチッとノイズが出る。音源ロードのグラフィック表示では余裕があるように見えるのだが……

 しかし、M1 Mac miniにおける、Logic Pro+Pianoteq 7 Proの組み合わせだと192KHz/24bitで鳴らしてもノイズが乗ることはないのだ。少なめのバッファサイズ設定でも大丈夫であった。もちろん、演奏内容により同時発音数が増えれば、問題が健在化する可能性も否定はできないが、リアルタイム演算で楽器の音を鳴らすモデリング音源においても、M1 Macの強みが存分に発揮されるということではないだろうか。

photo M1 Mac miniでは、192KHz/24bitで再生し、バッファサイズが小さくてもノイズが乗ることはなかった

 ちなみに、Pianoteq 7 ProがApple Siliconに対応しているという情報は、メーカーサイトのどこにも記載されていないのでRosetta 2翻訳で動作していると推測している。macOS 11(Big Sur)には、対応済みだ。ただ、この音源は、以前よりLinux駆動のRaspberry PiのようなArmベースのシングルボードコンピュータとも互換性があるので、「Armつながり」ということで、Apple Siliconにもいずれ対応してくれるだろう。また、公式MODARTTのユーザーフォーラムでも「中の人」っぽい人物が、Apple Siliconのサポートを明言している。

 Pianoteq に限らずモデリング音源は、CPUリソースの不足によるノイズ発生というリスクを意識しながら使う必要があるので、CPUがパワフルであれば、それだけ安心できるというもの。モデリング音源とM1 Macの組み合わせは、机上で音楽を作るものとして福音の一つになるのではないか。

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M1プロセッサを搭載したMacを音楽方面に使った場合どうなるかを、自らiOSアプリを開発し、レーベルも運営している山崎潤一郎さんが検証していく。

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