Innovative Tech
読唇術で音声入力 スマホで口パクを自撮りし音声に変換「LipType」
Innovative Tech:
このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。
米カリフォルニア大学マーセド校の研究チームが開発した「LipType」は、音のない口パク映像を音声に変換する、深層学習を用いた読唇システムだ。スマートフォンのインカメラで口パクを自撮りして、話者の唇の動きを読み取る。
音声認識は、周囲が騒がしい場合には信頼性が低く、図書館や電車内などではプライバシーやセキュリティが損なわれる。声が出せない障害のある人はそもそも音声認識が使えない。
解決策としては、口パクのような無声発話による音声入力が挙げられる。無声発話時に動く顎の動きを捉えて音声に変換するものや、無声発話時に顎の下に設置したセンサーから皮膚が変動する顎運動と舌筋の運動を計測し音声に変換するものなど、さまざまな角度から研究されている。
今回の手法では、唇の動きだけの音声なし映像を、意図した音声に変換する。既存の深層学習読唇モデル「LipNet」を最適化して速度と精度を向上させ、照明条件が悪い状況でも処理が行える修復モデルを開発し組み合わせた。
読唇モデルは、エンドツーエンドの深層学習ネットワークを用い、唇の配列を自動的に分割しテキストに分類。唇が映るビデオフレームのシーケンスを受け取りフレームごとに特徴ベクトルを出力するモジュールと、フレームごとの特徴ベクトルのシーケンスから1文字ずつ出力するモジュールの2段階で構成する。
データセットには発話しているときの人の顔で構成する短いビデオクリップ、訓練用2万1635本、テスト用7140本を用いた。学習したモデルを比較した結果、入力速度、精度、計算時間のいずれにおいても、LipTypeがLipNetを上回ったという。
修正モデルは、入力映像の照明条件の悪さと認識における潜在的なエラーを考慮した複数段階にわたるパイプラインで、照明条件の悪い映像を補正する前処理ステップと、潜在的なエラーを自動的に検出・修正する後処理ステップを含む。
この修正モデルはLipType以外の音声認識モデルにも適応できるのが特徴。主要な音声認識モデルで試したところ、全てのモデルのエラー率を大幅に低減したという。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
“自動で耳コピ”アプリ、ヤマハが無料公開 音源読み込み→3分でピアノ譜に
-
2
マンガ数冊「105万円でSOLD」物議、メルカリ“マネロン疑惑”を否定「その価格で売れていない」……ならばなぜ?
-
3
録画した番組を「Googleドライブ」「OneDrive」に保存 パナソニック新型「DIGA」で
-
4
Grok、Aniと“お別れ” 3Dコンパニオン機能が終了 キャラは開発スタジオの新アプリ「Animates」で継続へ
-
5
Appleの「iPhone Duo」は、折りたたみスマホの未来を開くのか、閉じるのか
-
6
「悪用されそう」─―メルカリ「限定公開」機能、SNSで物議 同社に対策を聞いた
-
7
「AIで効率化しても仕事が増えるだけ」──月○時間浮かせても報告しない社員たち 広がる“AI版静かな退職”
-
8
楽天モバイル、「ID未連携ユーザーの自動解約」を撤回 2週間で方針転換
-
9
iPhone 18 Pro/Pro Maxは静かな滑り出し 予約開始3日目で「発売日受け取り可能」なモデルも
-
10
トランプ政権のサックス氏、AI「ペース調整」論に苦言 「規制がなければできないふりをやめろ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR