“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
PC互換機はIntelだけではない ジョブズのいないAppleが進めたPRePとCHRP(2/4 ページ)
1993年にCEO職に昇格したスピンドラー氏だが、当時Macintoshは急速にシェアを落としていた。
写真2はRedditに掲載されていたものだが、1992年にはそれでも8%ほどあったマーケットシェアは、1996年には4%ほどにまで急落している。
マーケット全体はそれでも成長しているから、売り上げそのものは増えていた(例えばstatistaのこちらを参照)とはいえ、長期的なビジネスを考えたときには先細りになる可能性が高かった。
本質的な問題で言えば、この時のMacintoshはSystem 7ベース(7.0、7.1)でなんというかいろいろひどかった。その後System 7.5も1994年にリリースされているが、多少マシになったという程度で、急速に使い勝手を上げていたWindows系列には遠く及ばなかった(ちなみに筆者はこのSystem 7.5のタイミングでApple Computerと決別している)。
もちろん当時のWindowsには無かった(今も怪しいが)カラーハンドリングとか解像度のハンドリングとか、「Macintoshでしかできないこと」が要求されるデザインとかでは根強く使われていたが、逆に言えばそれ以外の部分ではWindowsと本質的に大差なく、するとアプリケーションの数とか入手性などでどうしても難が出てくる。本質的にはまずOSを何とかしろよ、という話になる訳だが、それが実現したのはNeXTを買収してNeXTSTEPをベースとしたMac OS Xが出てからの話である。
ただそれはそれとして、とにかくインストールベースが少ない限りアプリケーションを手掛けるベンダーにとってMacintosh向けマーケットはおいしいビジネスにはならない。そのためには出荷台数を増やす必要があるが、Apple Computerにはその余力がない。となると、Macintosh互換機をリリースし、そこにOSをライセンスするという、Microsoftと同じビジネスに舵を切るのは、一応妥当性のある判断である。
実はこれはIBMとMotorolaにとってもうれしい決断であった。大金をかけてPowerPCを開発した以上、両社はより多数のPowerPCチップが売れてほしかった。そのためにはMacintoshの市場が広がることが望ましく、もしMacintosh互換機ビジネスがうまく立ち上がれば、売り上げが大きく増えることが期待できるからだ。
IBMにはもう1つ別の思惑もあった。同社はPowerPCをワークステーションやローエンドサーバ向けにも展開するつもりがあった。OSとしてはAIXとかOS/2な訳だが、こうしたOSを移植するためには、ブートローダーの基本的な仕組みとか、OSからハードウェアにアクセスするための仕組みなどに関して標準化されている方が移植がしやすい。もしこの辺りをMacintosh互換機と共通にできれば、例えば将来的にはMacintosh OSとOS/2とAIXが全部動く、なんて仕組みができることになる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
“PC”あるいは“Personal Computer”と呼ばれるもの、その変遷を辿る
RISCの歴史、Apple Siliconの歩みを語ってきた大原雄介さんのコンピュータ歴史連載、テーマはズバリ「PC」だ。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
2
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
3
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
4
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
-
5
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
6
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
7
Apple、「iPad mini」を大幅刷新 8.5インチOLEDとA20 Pro搭載、防水にも対応 11万9800円から
-
8
ジョーシンへの不正アクセス、最大623万件漏えいか 運転免許証2件・マイナカード1件なども
-
9
グッスマに不正アクセス、公式EC閉鎖 会員の住所や注文履歴など漏えいか 再開目処立たず
-
10
野村総研、サイバー攻撃時の「能動的なシステム停止」を支援する新サービス
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR