SaaS企業なのにおじさん幹部がネイル研究? 「2Cか2Bか」で迷走した電子マニュアル事業者の決断(1/2 ページ)
電子マニュアルをタブレットやスマートフォンなどで作成・閲覧できる法人向けSaaS「Teachme Biz」を提供するスタディスト。ユーザー企業は2000社(2021年11月時点)を超え、4月には約18億円の資金調達に成功。B2B SaaS企業として勢いを増す同社だが、実は法人向け一本でやってきたわけではなく、過去には個人向けサービスを提供しつつも迷走が続いた“黒歴史”もあったという。
「Teachme Bizの前、前身となるサービスを個人向けに提供していた。さまざまな物事のマニュアルを作って(ユーザー間で)共有できるサービスで、コンテンツを広げようとネイルを研究してコンテストを開催したり、“キャラクター弁当”のイベントをやってみたりしたが、まさに迷走期だった」
スタディストの黒歴史について、庄司啓太郎副社長はこう話す。同社は迷走期をどのように乗り越え、法人向けに的を絞るまでに至ったのか。その一部始終を創業メンバーの一人でもある庄司副社長に聞いた。
「○○版クックパッド」目指すも…… スタディストの黒歴史
スタディストがTeachme Bizの前身となるサービスの提供を始めたのは12年。もともとは「Teachme」という名前で、DIYなどのやり方を、「クックパッド」のようにマニュアル化して共有できるとして提供していた。
法人向けの提供は当時から視野に入れていたものの「まずは個人向けに展開し、認知の拡大や機能拡充を図ろう」という方針の下、無料のサービスとして提供。具体的な時期などは決めていなかったが、折を見て法人向けに舵を切る計画だったという。
とはいえ、当時のTeachmeは新興サービス。ユーザーは数千人規模で、利用を盛り上げるのに必死だった。そこでさらなる認知拡大のために考え出したのが、ネイルやキャラクター弁当のキャンペーンやイベントを行うといったアイデアだった。
「当時はクックパッドが一世を風靡しており、料理以外は更地だという発想で『○○版クックパッド』のようなものが乱立していた。(Teachmeにも)そういう道があり、認知拡大にもつなげられると野心的だった」
例えばネイルでは、創業メンバーが当時知り合った著名なネイルアーティストと協力。ネイルアートのマニュアルを投稿するコンテストを開催した。キャラクター弁当ではブロガーと協力し、主婦や子供と一緒に弁当を作るイベントを実施した。
ネイルやキャラクター弁当といった題材を選んだのは、いずれも出来上がりのイメージは広く知られているものの、当時はそこに至る手順があまり知られていなかったことや、作業の流れを手順化してマニュアルにしやすい点が、Teachmeと相性が良いと考えたためだった。その一方で、これらの取り組みで望む成果が得られたわけではなかった。
「ゆくゆくはTeachmeを知った人が法人向けサービスのユーザーになってくれると期待していた。ただ、ネイルを好きな人とTeachme Bizの契約層は全然違うところに住んでいて、そのまま進んでも何にもつながらないことが分かった。足踏みというか、勉強した期間だった」
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