Tポイント危機説は本当か? ヤフーなど大手企業の「Tポイント離れ」が与える影響と課題(1/2 ページ)
「Tポイントカードはお持ちですか?」……共通ポイントカードで「Tポイント」提携店舗で毎回聞かれるおなじみのせりふだが、この「Tポイント経済圏」が大きく揺らいでいるという話題が最近よく聞かれるようになった。
例えば、筆者はこの原稿をいまドトールコーヒーの店内で執筆しているが、同社は2009年よりTポイントを共通ポイントとして導入。カード発行も行っていたものの、2019年にTポイント提携を終了。dポイント連携を開始するとともに、カード発行事業そのものは2015年に発行を開始した独自のハウスカード「ドトールバリューカード」に集約している。
Tポイントカード(Tカード)はもともとカルチュアコンビニエンスクラブ(CCC)が運営するレンタルショップ「TSUTAYA」の会員カードとして1983年にスタートし、開始から20年の節目にあたる2003年に共通ポイント「Tポイント」の事業をスタートした。CCCによれば、2021年3月時点のTカード会員数は7068万人、提携企業数は5703社、店舗数は16万5808店にのぼり、年間取引金額は約8兆円になるという。実質的に日本の人口の6割弱がTカードのアクティブユーザーに相当する。
だが前出のドトールをはじめ、2019年から2020年にかけて大手加盟店のTポイント脱退が相次ぎ、メディア各社の報道でも危機説が囁かれるようになった。いまTポイントならびにTカードの世界に何が起きているのか。
Tポイント危機説は本当か?
直近の話題でいえば、ファミリーマートが親会社の伊藤忠商事の意向をくむ形で独自のポイントプログラム導入を模索し、Tポイントと距離を置きつつあることが知られている。
実際、2019年には「ファミマTカード」の発行とファミマアプリで提供していた「T会員限定サービス」を終了し、これまでTポイントのみだった共通ポイントを「dポイント」と「楽天ポイント」に拡大してマルチ方式へと移行している。ファミマTカードについてはクレジットカードの発行は継続するものの、すでにTポイントが唯一の選択肢という状態ではなくなっている。今後ファミペイアプリの機能拡充と合わせ、Tポイントの比重はより下がっていくものと考えられる。
もう1つ大きなトピックと考えられるのがソフトバンクのTポイント離脱だ。ソフトバンク傘下のヤフー(現Zホールディングス)とCCCは2012年6月に戦略的資本・業務提携を発表し、これまでヤフーが発行していた「Yahoo!ポイント」を共通ポイントのTポイントに、逆にCCCの共通IDだった「T-ID」を「Yahoo! JAPAN ID」に一本化するなど、ポイントとID統合を進めた。これによりヤフーの各種サービスがTポイントと連動するようになり、またTポイント加盟各社の共通IDがヤフー側のIDに統一されるなど、かなり密接なレベルで結びついている。
だが2021年12月、Zホールディングスは従来まで発行していたヤフーカードを「PayPayカード」へと移行することを発表、合わせて従来までYahoo! Japanで利用可能だったTポイント連携を2022年3月いっぱいで終了することになった。一方のCCCも、従来までモバイルTカード発行に必要だった「Yahoo! JAPAN ID」が不要となり、両社の提携発表から約10年で蜜月関係は終焉へと向かうことになる。
Tポイントにはまだまだ有力な加盟店が残っているものの、複数の関係者は「CCCは非常に苦しい状況にある」と口をそろえる。理由としては、ここまでに挙げた大手だけでなく、水面下でTポイントからの離脱や、ファミマ同様に他のポイントプログラムを同時に取り込むマルチ方式に切り替えるべく複数の加盟店で交渉が進んでおり、この流れは止まらないという部分にある。
Tポイントの現状を受けて共通ポイントでのライバルにあたるドコモや楽天は営業攻勢を強めており、Tポイント加盟店はその草刈場となりつつある。実際、年内にも複数の加盟店離脱やマルチ方式への移行が控えているとある関係者は証言している。
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