日本初、“返済義務あり”スタートアップ専門の独立系ファンド マネフォ子会社などが設立 事業への干渉は原則なし
マネーフォワード子会社のマネーフォワードシンカ(東京都港区)など3社は5月24日、スタートアップのみを対象にした独立系ファンドを立ち上げたと発表した。日本で主流のエクイティ型(株式を発行して資金調達する方式)ではなく、資金の返済義務がある代わりに、原則として出資者が事業に干渉しない「デット型」を採用した。スタートアップ専門の独立系デット型ファンドは日本初という。
国内スタートアップを対象に、業種を問わず融資する方針。中でもSaaSやフィンテック、ECを手掛けるスタートアップの利用を想定しているという。金利は年3~15%で、融資に当たっては新株予約権の発行などを求める場合もある。
ファンドは新会社のSDFキャピタル(東京都品川区)が運営する。SDFキャピタルは代表取締役を務める福田拓実さん、マネーフォワードシンカ、経営管理の支援事業を手掛けるWARC(東京都品川区)が出資して設立した。
20日に初回のクロージング(ファンドへの投資の受け付け)を終え、マネーフォワードや紀陽銀行から数億円を集めた。今後は23年春までに、最大で累計50億円の調達を目指す。
狙うはVCと銀行借入の隙間 新ファンド設立の背景
福田代表取締役によれば、日本での資金調達はエクイティ型のベンチャーキャピタルや、民間の金融機関による融資が主流という。ただしそれぞれ長所と短所があり、その隙間を埋める狙いでデット型のファンドを設立したとしている。
例えば主流なエクイティ型のベンチャーキャピタルは、原則として返済に期限がない代わりに出資者から事業への干渉を受ける可能性がある。民間の金融機関からの融資は年利1~3%と低金利で資金を調達できる代わりに、その用途や業種を制限される可能性があるという。いずれも、審査に数カ月程度かかる課題もある。
一方デット型ファンドでは、返済が必要な代わりに事業への干渉がなく、資金の用途や業種も問わない形で資金を調達できるという。審査期間も1カ月程度としている。
既存の資金調達の隙間を狙った設立背景から、株式の希薄化を避けたい企業や、増資予定はあるがそれまでの資金繰りに悩む企業の利用を見込む。柔軟な融資ができるよう、担保や連帯保証の要不要は都度判断する方針だ。
新ファンドで狙える融資の機会は金額にして約2000億円を想定。ただし、エクイティ型のベンチャーキャピタル(約7801億円)よりは規模が小さいこともあり「業界をけん引するのはベンチャーキャピタルや主要な金融機関であることには変わりないと思う。デットかつ独立系なので、何百億も財布があるわけではない。われわれの資金だけではスタートアップの成長にも限界がある」(福田代表取締役)としている。
「これまではデットを担えるのは銀行出身の人材しかおらず、日本では人材の流動性が低いことから、なかなか浸透してこなかった。今後はノウハウのあるマネーフォワードシンカやWARCと人脈や見立てを組み合わせ、チームワークでやっていく」(福田代表取締役)
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