登場から約半世紀 世界初のギターシンセ「GR-500/GS-500」 当時の関係者に聞く“開発秘話”(2/3 ページ)
弦の振動から制御信号を検出する難しさ
GR-500/GS-500は、ローランドの創業者である梯郁太郎氏の肝いりで誕生した。当時のアナログ・シンセは、CV/Gate 方式という音の高低を制御する信号と鍵盤のオン/オフを表す信号の組み合わせで電子音を発振していた。
鍵盤であればオン/オフという形で明確な信号を出すことができる。しかし、ギターの場合は、常に無段階に強弱が変化する弦の振動から制御信号を検出しなければならない難しさがある。
「弦の振動から音程を検出し、それを電圧に変えるというのがギターコントローラーのキモになります。正確な音程を拾うためには、聴感上聞こえていない周波数を検出する仕組みが必要です。例えば、6弦の音として人間が主に聞いているのは倍音である約166Hzです。しかし、実際の弦が発する周波数は約83Hzです。音程を取るためにはこの周波数を正確に拾う必要があります」(植野氏)
音程の基礎となる周波数を正確に拾うためには、ギターの性能がものをいう。弦の周波数を正確に取得するために、ネックの中にはトラスロッドが3本仕込まれている。ネックに変な振動や余計な倍音が発生しないように強化することが目的だ。通常のトラスロッドは1~2本だ。
また、ピックアップも大切な要素だ。ギターコントローラーGS-500には、3つのピックアップが搭載されている。ブリッジに近い方から、シンセ用のピックアップ、ギター用ピックアップ、マグネットピックアップと並ぶ。このギターを製造するために、ローランドは、富士弦楽器製造と組んで合弁会社である富士ローランドを設立した。
「試作段階では、テープレコーダーのテープヘッドを6個並べて流用していました。原理は同じですし形も似ています。音源は、System700といったローランドのシンセを使っていました。ちなみに、GS-500のネックはトラスロッドで反りを矯正する仕組みがありません。3本も入っているので反らないという前提です。だから重たくなりました」(植野氏)
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