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子犬、子猫、狼の子は訓練なしに人の動きをまねるのか? ハンガリーの研究者らが検証

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このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2

 ハンガリーのEotvos Lorand Universityに所属する研究者らが発表した論文「Spontaneous action matching in dog puppies, kittens and wolf pups」は、子犬、子猫、狼の子に対して、事前の訓練や食べ物の報酬がなくても、人が行った行動を観察してまねするかを検証した研究報告である。

実験の様子。真ん中の赤い置物を犬がどう触るかを観察する

 実験では、人の家庭で飼われている42匹の子犬、39匹の子猫、8匹の狼の子が、部屋に置かれた新しい物体に対してどのような行動(例えば、鼻や前足で触れるなど)をとるかを確認した。

 次に、飼い主が動物を抱いている間に、実験者はその物体に対して別の行動を示す。例えば、動物が鼻で対象物を触っていた場合、実験者は手で対象物を触る。そして、最終的に動物が同じ行動をとるかどうかを観察した。

 まず、実験者が行動を示しているときに動物たちが見ているかを評価した。結果は、子犬はほぼすぐにこちらに目を向けてくれたが、狼の子や子猫の注意を引くには4?5倍の時間がかかった。

 子犬と狼の子は、子猫の2倍にあたる約70%の試行で実演された行動を模倣した。中でも、子犬だけは人間の実験者と同格の身体部位(例えば、前足-手)で行動を模倣する傾向があった。

 ほとんどの子犬は、鼻で対象物に触れていたが、実験者が手で対象物を触るのを観察した後、実験者が異なる行動をしている状態でも、子犬たちは前足で対象物を触る傾向があった。人の動きを見てまねた可能性を示唆した。

実験中、子犬が白いカゴを鼻で触れている様子

 動物たちの歴史を見ると、犬や狼の祖先は集団生活を営む社会的動物で、生存のために集団内で協力していたのに対し、猫の祖先は単独で狩りをする動物である。また犬の方が猫よりも早く家畜化されている。(猫が1万年前に対して、犬は2万年~4万年前)

 犬の方が猫よりも報酬や訓練がなくても人の行動をまねたことから、これらの歴史的背景と今回の実験結果に相関がある可能性を示唆した。

 今回の研究結果は、犬のしつけにおいて、餌による報酬に頼ることなく犬が本来持っている社会的学習能力を活用できる、新しいトレーニング方法の開発につながる可能性を示した。

Source and Image Credits: Fugazza, C., Temesi, A., Coronas, R. et al. Spontaneous action matching in dog puppies, kittens and wolf pups. Sci Rep 13, 2094(2023).https://doi.org/10.1038/s41598-023-28959-5

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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

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この記事の著者

山下裕毅
山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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