Innovative Tech

今の技術ではChatGPTが書いた文章だと見抜けない? さまざまなツールで検証、成功率は50%以下に

Innovative Tech:

このコーナーでは、テクノロジーの最新研究を紹介するWebメディア「Seamless」を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。Twitter: @shiropen2

 ドイツのダルムシュタット工科大学に所属する研究者らが発表した論文「To ChatGPT, or not to ChatGPT: That is the question!」は、ChatGPTで生成した応答と人間が作った応答を区別することを目的としたさまざまなツールの有効性を評価し、その精度と信頼性を比較した研究報告である。

 この評価には、ChatGPTプロンプトの検出をうたうツールや、ChatGPT生成コンテンツを対象としないその他のAI生成テキスト検出ツールも含まれる。

 ChatGPTをはじめとする大規模言語モデル(LLM)が登場するにつれ、フェイクニュースの発信や盗作、世論操作、不正行為、詐欺など、さまざまな形で悪用される懸念が高まっている。よって、AIが生成したものと人間が生成したものを区別することがますます重要になってきている。

 研究者たちは、基本的な二値分類器からより複雑な深層学習モデルまで、さまざまな検出手法を提案してきた。統計的特徴や構文パターンに依存する検出手法もあれば、意味や文脈の情報を取り入れて精度を向上させる手法もある。

 この研究では、これらの全ツール(一般的なAIテキスト検出器とChatGPTで生成したテキストを対象とした検出器)を、異なるドメインにまたがるChatGPTプロンプトと人間の応答からなるベンチマークデータセットに対してテストし、正しく評価する。

 作成したベンチマークデータセットは、人間が生成した5万8546の応答とChatGPTモデルが生成した7万2966の応答から構成。13万1512のサンプルを生成し、医学や金融などさまざまな分野から2万4322種類の質問に対応する。

 さらに、このデータセットには、人気のあるソーシャルネットワーキングプラットフォームからの回答が含まれており、ユーザーが作成した幅広い視点が提供されている。

分析したAI生成テキストを検出できる手法が書かれた論文と評価結果

 24本の論文で提案されている検出モデルをベンチマークデータセットでテストした結果、全てのモデルで50%以下の成功率しか達成できないことが判明した。最大でも47.3%の成功率しか達成できず、20%台が多く、一桁台もいくつかあった。分析した検出器のほとんどが、どんなテキストでも人間が書いたと分類してしまう傾向があり、一般的にTNRが90%と高く、TPRは低いことが分かった。

Source and Image Credits: Alessandro Pegoraro, Kavita Kumari, Hossein Fereidooni, and Ahmad-Reza Sadeghi. To ChatGPT, or not to ChatGPT: That is the question!

印刷する
SNSでシェア
SpecialPR

Innovative Tech

2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

この連載の記事をもっと見る

この記事の著者

山下裕毅
山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

関連記事

こんなメディアも見られています

ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。

メールマガジンを配信中
メールマガジンを配信中

国内外の業界動向、AIやクラウドなどの最新技術、キャリア情報など今知りたい情報をまとめてお届けします。

いますぐご登録

本日の新着記事

アクセスランキング

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
  6. 6
  7. 7
  8. 8
  9. 9
  10. 10

ITmedia NEWS SNS

X @itmedia_newsをフォロー

インフォメーション

ITmediaNEWSをフォロー

あなたにおすすめの記事PR