事例で学ぶAIガバナンス

生成AIの自社ルールの作り方 米AP通信の例 「“何をさせないか”を明らかに」(1/3 ページ)

 生成AIの普及により、自らのビジネスにおいても、この新しい技術を活用しようとする企業が増えている。それに伴い、社内のユーザーに向け、自社独自のガイドラインやルールを制定する動きも見られるようになってきた。ではそうしたルールがどのような内容になっているのか。大手通信社の米AP通信の例を見てみよう。

OpenAIと最初に提携した報道機関

 1846年創設と長い歴史を持つAP通信だが、一方でテクノロジー活用にも積極的なことで知られ、AIを利用した記事の自動作成にも取り組んでいる。AP通信は7月、話題の生成AI「ChatGPT」の開発会社・米OpenAIとの提携を発表した。これによりAP通信は、主要な報道機関の中でOpenAIと提携した初の存在となった。

 AP通信のプレスリリースでは「ニュース製品やサービスにおける生成AIの潜在的ユースケースを検討するため、ニュースコンテンツと技術へのアクセスを共有することで合意に達した」とし「OpenAIはAP通信のテキストアーカイブの一部をライセンス供与され、AP通信はOpenAIの技術と製品に関する専門知識を活用することになる」と説明する。

AP通信のプレスリリース

 要するに、OpenAIはAP通信がこれまで蓄積してきた大量の記事データにアクセスできるようになり(それはAIモデルの学習データとして活用されるだろう)、AP通信はOpenAIが持つ、AIに関する高度な技術力を利用できるようになるというわけだ。

 先ほどAP通信が既にAI活用を進めていたことについて触れたが、それはこのプレスリリースの中でも解説されている。彼らは「10年近く前からAI技術を活用し、定型的な作業を自動化することで、ジャーナリストをより有意義な報道に専念できるようにしてきた」としている。

 具体的には、2014年に企業の決算報告の自動化を始め、その後一部のスポーツイベントについて記事を自動生成するようになった。また各種のライブイベント(記者会見など)の音声・映像コンテンツの書き起こしを支援するためにも、AI技術を活用しているそうだ。

 ただし生成AIで記事を作るという取り組みはまだ進めておらず、その使用基準について精査を行っている段階であると、7月の発表では述べられている。そしてつい先日、AP通信からこの「基準」に関する発表があった。

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事例で学ぶAIガバナンス

AIを本格的に業務に取り入れ、大きな効果を得たいと考える企業の数は日本でも着実に増えている。一方、米国企業に比べて「AIガバナンス」の導入は遅れていると指摘する声もある。AIを開発・利用するに当たり、どのようなガバナンスが必要になるのか。実際の事例を基に考える。

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