King GnuのMVや特撮でも活躍 空間を“召喚”する「バーチャルプロダクション」とは 裏には意外な技術も(3/4 ページ)
バーチャルプロダクションにマストな「Unreal Engine」
Unreal Engine(UE)は、米Epic Gamesが1998年にリリースした人気タイトル「Unreal」向けに開発したゲームエンジンで、世代を重ねつつ今では「Fortnite」はじめ世界中の3Dゲームで採用されている。リアルタイムレンダリングの品質に定評があり、2021年に公開されたUE5の技術デモ「The Matrix Awakens」は、「もう実写じゃん……」などと話題になった。
インカメラVFXは、ゲームと同じようにUnreal Engine上で動くバーチャル空間を使用する。演者を撮るカメラの位置や方向などをトラッキングし、バーチャル空間内に設置されたバーチャルカメラの動きと合わせる。バーチャルカメラが捉えた映像はLEDウォールに表示され、実際のカメラで再撮影することで“動く背景”を実現している。つまり、デモに出てきた図書館はバーチャル空間ということになる。
17Kでリアルタイムレンダリングってできるの?
とはいえ、ゲームエンジンは「Unity」などいろいろある。なぜUnreal Engineが使われているのだろうか。
ソニーPCLの遠藤和真氏によるとUnreal Engineが「ほぼ一択」と語る。「米Epicがゲームを作る以外にも(Unreal Engineの利用用途を)充実させていることもあり、映像制作にもゲームエンジンが使われるようになった」「ゲームエンジンはAIも使いながら、かなり描画の処理が単純化されている。(UEは)アセットをそろえやすいし早く作れる。カメラも配置しやすいので、ゲームだけじゃなく映像制作にも使いやすい」(遠藤氏)
しかし気になるのが解像度だ。出力先は17KのLEDウォールである。Unreal Engineがリアルタイムレンダリングに優れているとはいえ、ハイクオリティーなアセットを自在に配置しつつフレームレートも維持させるには、かなりのコンピューティングパワーが必要になる。
それを実現するが分散レンダリングだ。清澄白河BASEではLEDウォールを10のエリアに区切り、それぞれを10台のPCでレンダリング。出力した各映像を専用のプラグインで1つのコンテンツに統合し、LEDウォールに送出しているという。実際にLEDウォールの映像を見ても描画がズレている印象は全くなかったが、エリアの境目でアセットがズレないよう、バーチャルプロダクションのワークフローにはアセットの最適化が組み込まれているという。
この方式が優れているのが拡張性の高さだ。LEDウォールをより広くしたい場合も、拡張するLEDユニットと、そのエリアを描画するPCを追加すれば対応できるという。もちろんPCにはハイパフォーマンスなGPUが必要となるが、専用のサーバを追加するよりも柔軟性は高いという(なお、清澄白河BASEには映像用にソニーPCLのメディアサーバ「ZOET 4」も接続されている)。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
2
「楽天ドライブ」に不正アクセス 保存したデータなど1.5万アカウント分が取得・閲覧のおそれ
-
3
たばこ休憩なき時代の“一服”をどう取るか 温熱と“聞こえない音”で休む、JT子会社のアイマスクを試す
-
4
「能動的サイバー防御」きょう開始 警察・自衛隊などが攻撃元サーバを無害化 高市首相も狙いを説明
-
5
B級感がたまらない? 映画「ストリートファイター」の魅力と原作ゲームの歴史、ゲーマーマンガ家が熱弁
-
6
GMO、不正取引の被害額を補償へ 見舞金5000円も 「お名前.com」FX用VPSへのサイバー攻撃で
-
7
「Claude Mythos 5」、危害の兆候を顧みず実在の開発者を標的に──AnthropicとAISIが分析結果を公開
-
8
「お名前.com」 のFX自動売買VPS、不正アクセスで金銭被害か 「600万円の損失」「55万円なくなった」……報告相次ぐ
-
9
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
10
TYPE-MOON、慈善団体を設立していた 「ノーツすこやかこども財団」としてこども食堂を支援
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR