小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
AWS、放送業界を分かってきたじゃないか…… Inter BEE展示で感じたこと(2/2 ページ)
米国で広がるライブクラウド制作とクラウドマスター
ライブクラウド制作と名付けられたコーナーでは、ソニーの「M2L-X」が動作していた。会場内のブース映像と、LiveUと協力して同社オフィスからの映像をクラウドで受け、それをクラウド上のソフトウェアスイッチャーで切り替える。
同様のデモはソニーブース内でも行われていたが、こちらは操作レスポンスに1秒弱の遅延があったのに対し、AWSでのデモでは遅延は1~2フレームとかなり抑えられていた。オペレーション用に使用する映像には、実際に操作される映像とは違う低遅延の軽量データを使用しているという。
さらにクラウド上ではSRTやNDIが混在しているが、これは入力ソースの違いもさることながら、クラウド上のツールがそれぞれ得意不得意があるため、どうしてもコンバートする必要があるのだという。得意なフォーマットなら安定性も増し、遅延量も減る。こうしたノウハウは、さすが餅は餅屋というか、インフラサービスとして一番突っ込まれがちなところにコストをかけて展示している。
すでに米国ではライブクラウド制作が広く使われるようになっているが、コンテンツの規模によってシステム規模やスタッフ数などをシビアに切り分けているという。つまり高視聴率が見込めるものにはコストとスタッフをつぎ込み、そうでないものは3番組を1人のオペレーターで回すといった、オペレーション側の拡張縮小が重視されている。
ブースの目玉ともいえる展示が、クラウドを使ったマスターシステムである。ARIB準拠のマスターからの出力を、実際にTSストリームに変調して民生用テレビに出すというところまでシステムが組んであった。
系統図を見ると、SRTとCDIの混在型となっている。CDIはAWSが開発した非圧縮映像信号をクラウドサービス間で受け渡していく技術で、Cloud Digital Interfaceの略称だ。旧来使われてきたSDI(Serial Digital Interface)を意識したネーミングであるという。
現時点では各サービスが得意なプロトコルでつないでいるため、変換系統が多い印象だが、最終的にはCDIかNDIに統一したシステムになるだろうと予想されている。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
クラウド活用にリモート編集環境と、映像にまつわるプロフェッショナルの分野にDXの波が押し寄せている。プロの現場で何が起こっているのか。最新のITトピックを小寺信良氏が解説する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
4
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
5
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR