小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
「5Gでライブ中継」が現実に? スマホみたいな5Gトランスミッターで実現する映像の未来(3/3 ページ)
局で待機している編集マンは、通常は撮影クルーが素材とともに戻ってくるまで、待機しておかなければならないわけだが、プロキシデータが先に届けば、編集に着手することができる。クルーが戻るまでのダウンタイムがなくなるという点で、速報性が出てくる。ただこれは、プロキシというデータの持ち方が発案された25年前からずっと描かれてきたシナリオだ。
ハイレゾデータをそのまま扱う場合、大きなスポーツイベントでは編集ブースもスタジアム内に設置するという例も見られたところだ。だが5Gでハイレゾデータをアップロードすれば、編集マンはどこにいても、自宅からでも編集ができる。これは働き方改革としても、意味がある。
コンテンツ配信においても、クラウドによる自動化が大きな意味を持つ。例えば大きなリーグの試合となれば、多くの国や団体、チームがそれぞれに複雑な権利を所有しており、またチーム内にも国外選手が数多くいることで、その関係はより複雑になる。
Ciメディアクラウドではこのようなルールに基づいて、自動的に映像素材を必要な国や団体に配信する。この試合はこの選手が出ているからこの国へ、あるいはこの団体へ、といった格好だ。
もしこれを人間が手動で素材管理を行っていたら、何らかのミスや誤解で素材が来ないことを連絡しても、連絡した先で権利関係を確認してからファイル送付となる。また時差もあり、連絡しても応答がないといったことも起こるだろう。それでは公開のタイミングを逃してしまう。複雑な権利処理が絡むほど、高度な自動化には意味がある。
機材の柔軟性がもたらすメリット
プロクオリティーの映像が5Gを経由してアップロードできるだけで、クラウドからのライブ配信は現実的な話となる。一方でこうしたソリューションは、専門機材1つ、1社のテクノロジーで済むような時代ではなくなった。「PDT-FP1」は素晴らしい端末だが、普通のスマホに映像入力ができるなら、それでも代用できるという柔軟性がある。これは、大規模なプロジェクトや放送局、大手プロダクションでなくても、こうした技術を利用できるという意味でもある。
どういうピースでシステムを組み上げるか。ソニーは通信会社と組んで実動するシステムを作っているが、バラバラのピースから組み上げることもできる。逆に各ピースを作る企業は、どことでもつながれるように設計しなければならない。このためにコア技術をオープンソース化するという流れもまた、「つながる」をウリにする時代において、当然の対応という事になる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
クラウド活用にリモート編集環境と、映像にまつわるプロフェッショナルの分野にDXの波が押し寄せている。プロの現場で何が起こっているのか。最新のITトピックを小寺信良氏が解説する。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
2
Anthropic、「Claude Opus 5」公開 Fable 5に迫る性能を半額で――サイバー安全策は緩和、拒否時は自動フォールバックも
-
3
「iPhone高騰」はこれからも続く? 中国CXMTに近づくApple、メモリ競合へのけん制が不発に終わりそうなワケ【後編】
-
4
「ニューロマンサー」実写ドラマ、Apple TV+で2027年1月配信開始へ
-
5
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
6
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
7
海外の新作バカゲー「電車アタック」にマンガ家が感心した理由 ブッ飛んだ内容と完成度の高さ、そして“日本”
-
8
「めっちゃカメレオン」公式Discord乗っ取り 担当者PCがマルウェア感染、管理者が全員BANに 現在は復旧
-
9
暑さ対策が熱い! 「猛暑対策展」で感じた、転んでもただでは起き上がらない日本人のエネルギー
-
10
スーパーに並んだ「ごちゃごちゃ生成AIポップ」が物議 “看板王”こと、きぬた歯科院長「これはアリ」
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR