辻伸弘氏×GMOイエラエ阿部慎司氏ロング対談【前編】
「大企業を守るには、中小を守らねば」──セキュリティの“周回差”、ニッポンらしい埋め方は(2/2 ページ)
大手を守るためには、中小を守らねばならない
──いま、気にしているのは大企業よりも中小規模ですか?
阿部:イエラエに転職した理由の1つがそれです。名だたる企業を相手に億単位の予算をかけ、という世界もありつつ、裾野を広げる上では中小が重要です。いま、サプライチェーン攻撃といった部分に注目も集まっています。
辻:大手を守るためには、中小を守らねばならない。
阿部:大企業を相手にしていたときも「自分たちが見ていない範囲でやられました」ということがたくさんありました。中小規模を守っていかない限り、日本全体のセキュリティを底上げすることは難しいと感じています。
辻:講演などでいろんな人と接していると、大企業における、大規模なセキュリティの取り組みは、言い方は悪いんですけど何の参考にもならないんですよね。規模が違いすぎるので。
──日本のサイバーセキュリティの理想を実現するため、いまどのような問題意識を持っていますか?
阿部:いまですと、世界情勢や安全保障ということもさることながら、会社単位で見たとしても共通しているのは「何を持って安定状態としているか」ではないでしょうか。平時とは何か、という定義です。運用とは、状態を安定させることです。では、そのラインはどこにあるのでしょう。それが明確になっていないことが多いのかもしれません。
会社として「ウチのセキュリティは大丈夫か?」と聞く人も多いですけど、じゃあ「大丈夫」ってなんだろうということになります。ならば、会社としてのセキュリティもゴールを明文化しておく必要があるでしょう。
辻:「守りたいものはどこにある何か?」から考えるのではなく、脅威から考えるからおかしくなるのかもしれないと思っています。例えばいまなら「ランサムウェアから守るには?」から入ってしまいますよね。そこから入ってしまうと手薄な場所がどうしても残ってしまうので、話の起点が間違っているのかもしれません。
阿部:日本でも各業種でさまざまなガイドラインがあるのですが、「はじめに」の部分には最終目的が書かれているはず。そこを各組織が認識すべきなのかもしれません。そこで守るべきものが分かれば、日本的に横を見ながら走り出せる。日本はその部分は得意なはずです。
海外は政府がガイドラインを強制しますが、日本はビジネス側が強く、それを逆手に取るのが日本らしいのかもしれません。世界に比べて日本のセキュリティが弱いとはまったく思いません。
続く後編では、人材育成や未来のセキュリティ人材に向けた発信について、2人の考えを取り上げる。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
辻伸弘のSecurity With You
本連載では“働くセキュリティ人”たちに注目。ポッドキャスト「セキュリティのアレ」のメンバー・辻伸弘氏と一緒に、セキュリティに携わる人たちを訪ね、その未来を対談形式で語る。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
GMO、ランサム被害にあった顧客に新しいPC提供へ 犯行グループは1人の顧客情報公開か
-
2
NECのルータ「Aterm」、PHP脆弱性の影響なし 設定画面URLの「.php」は無関係
-
3
「楽天トラベル」に不正アクセス 顧客情報最大約260万件など流出か 予約者約3.6万件のクレカ情報も
-
4
Google、プライバシーポリシーに「Gmail」「Googleフォト」のデータを広告に使う例外を追加 回避方法は
-
5
GMO不正アクセス、犯人側は「27日に顧客のPC攻撃」予告 GMOが端末回収、ホワイトハッカーが解析中
-
6
GMO、攻撃者による情報公開を確認 顧客データ含むか調査中 追加の見舞金も検討
-
7
GMO、攻撃者の公開情報に「アクセスは絶対に控えて」 悪質な拡散者には法的措置を準備
-
8
「5年でバッテリーが使い物にならなくなる」は本当か テスラ「モデル3」5年目点検で分かったこと
-
9
GMO熊谷代表「社内ホワイトハッカーが事前に指摘」も対策遅れ、国に「能動的サイバー防御」要請 「責任転嫁では」SNSで批判も
-
10
「年齢は合ってますが、人間ではありません」 6歳の飼い猫に届いた“進研ゼミの案内” なぜ届いたのかベネッセに聞いた
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR