教えて、スタートアップ反省談
「最初はVCの存在知らなかった」「もっと早く権限移譲できればよかった」 akippa金谷CEO語る“波乱のスタートアップ人生”(2/2 ページ)
味わった「権限移譲の難しさ」
さらに、組織づくりについても反省点があったと金谷CEO。人材採用については「漫然と『優秀な人が欲しい』というより、ある理想に対して逆算で考えて全然足りない、自分たちにはできないから助けてほしいというアプローチ。他社が『いかにうちがイケているか』を採用候補者に訴えているときに、僕は『akippaがいかにイケてないか』を懸命に候補者に説明していました」と笑いながら語る。
しかし成長の過程では、権限委譲の難しさをかみしめることもあったという。
「初期の段階では自分が何もかもに関わり、マイクロマネジメントに陥っていました。これは細かいところまで把握できる“手触り感”があっていいんですが、事業はなかなか伸びません。もっと早く権限委譲できればよかった」
金谷CEOが権限移譲を試みたのは19年ごろ。ただ、マイクロマネジメントに陥っていた反省からか、今度はチームを“放置”してしまったという。
これにより、現場はさながら“火事場”に。売り上げのための機能追加を求める営業サイドと、ユーザーのためのアップデートを優先したいエンジニアで意見の対立が発生し、黒字化が近づいていたにもかかわらず、事業面でも組織面でも問題を抱えることとなった。結局、金谷CEOが自ら事態の収拾に当たり、最終的には副社長に権限移譲していく運びになったという。
「書籍にも書いたのですが、プロダクト開発チームは崩壊寸前まで行っていました。きちんとモニタリングしていなかったので、僕の事業に対する解像度も低かった。ただ明らかな火事場が来て、自分が出ていかなければ収まらないと分かったことはよかったかもしれません。一度しっかりチームに入り込んで、その後、小林(取締役副社長COOの小林寛之氏)に権限を委譲していく中では、口出しはしませんがモニタリングは怠らないようにして、問題があったときにはアラートを出すようにしました」
「ずっと忙しかったことは大失敗だった」
もう1つ、大きな反省点として金谷CEOは「ずっと忙しかったことは大失敗だった」と振り返る。
「コロナ禍のときに考える時間ができて、ミッション、ビジョン、経営戦略の解像度がものすごく上がったんです。やはり考える時間があれば、全く違う次元のことを描けます」
この経験を踏まえて金谷CEOは現在、毎週月曜日を「中長期のことだけを考える日」として確保しているという。
「社員から見える業務をやっていないと『最近社長は何をしているのか分からない』などと言われることもあると思います。しかし、それを恐れていてはいけません。トップダウンの会社では、社員に頑張っている背中を見せることも大事だけど、未来を考えることはもっと大事。後に続く起業家の人たちには、勇気を持って『何やってるのか分かんない』ことをやってほしい」
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
教えて、スタートアップ反省談
スタートアップ経営者が、過去の失敗を自ら語る。
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
「Xが情報収集に役立たない……」熊本地震で不満の声続出 「Twitterを返して」
-
2
メルカリ、梨の転売疑惑に「盗品の出品は確認されず」 誹謗中傷には利用制限も
-
3
「こんなのに追われたら……」急斜面もやすやす爆走、中国製の車輪付き四足ロボのデモ動画が話題 最高時速20km超
-
4
検索結果に「詐欺ではありません」と表示させる詐欺手口、警視庁が注意喚起 AI要約も餌食に
-
5
農水省の“クソダサ”ポスター話題 「AIよりよっぽど良い」の声も 担当者に狙いを聞いた
-
6
はてな、11億円流出の調査報告書を公開 偽警察、口外禁止、残業・休出200時間超、孤立……ほころびが連鎖
-
7
Z世代に聞く次の流行、「AIイラスト」が1位に 「Claude Code」も上位
-
8
イオンモール熊本内部の様子も──自衛隊や警察庁、救助活動の動画・写真をSNSで積極発信
-
9
TSMC熊本工場、段階的に通常操業へ 熊本の地震で一時中断、従業員の無事確認 台湾報道
-
10
東野圭吾さん死去、Xなどで追悼相次ぐ 「ガリレオ」など数々の人気作、エンジニアから転身
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR