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“30分の有酸素運動”の直後は頭の働きが一時的に向上 ADHDと健常者で異なる脳反応 台湾大学などが発表

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このコーナーでは、2014年から先端テクノロジーの研究を論文単位で記事にしているWebメディア「Seamless」(シームレス)を主宰する山下裕毅氏が執筆。新規性の高い科学論文を山下氏がピックアップし、解説する。

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 台湾大学などに所属する研究者らが発表した論文「Acute aerobic exercise modulates cognition and cortical excitability in adults with attention-deficit hyperactivity disorder(ADHD)and healthy controls」は、健常者とADHD(注意欠如・多動性障害)を持つ成人を対象に、有酸素運動が認知機能と大脳皮質の興奮性に与える影響についての研究報告である。

“30分の有酸素運動”の直後は頭の働きが一時的に向上

 この研究では、薬物療法を受けていないADHD成人26人と、健常者26人を対象に、30分間の有酸素運動を1回行い、その前後で大脳皮質の興奮性と認知機能を測定した。

 研究で特に注目したのは、脳内の2つの重要な指標である。1つは皮質内促通(ICF)で、これは脳の興奮を高める働きを示す。もう1つは短潜時皮質内抑制 (SICI)で、これは脳の興奮を抑える働きを示している。

(関連記事:“有酸素運動”を何分すれば体重減少に効果があるのか? 6000人以上対象に英ICLなどが研究報告

 研究結果は、健常者とADHD患者で大きく異なることが判明した。健常者では、運動後にICFが増加しSICIが減少した。つまり、脳が全体的に活性化する方向に変化したことを示している。一方、ADHD患者では運動後にSICIが増加した。これは、普段は低下している抑制機能が改善されたことを意味している。

 さらに重要な発見として、ADHD患者では運動後に認知機能の改善が見られた。特に、不適切な反応を抑える能力(抑制制御)と、新しい運動技能を習得する能力(運動学習)が向上した。この改善は、SICIの増加と強い相関関係があることが分かった。

論文のトップページ

 この研究結果は、有酸素運動がADHD患者の脳に与える影響が、健常者とは異なることを示している。ADHD患者では、運動によって低下している抑制機能が改善され、それが認知機能の向上につながることが明らかになった。

Source and Image Credits: Hsiao-I Kuo, Michael A. Nitsche, Yen-Tzu Wu, Jung-Chi Chang, Li-Kuang Yang, Acute aerobic exercise modulates cognition and cortical excitability in adults with attention-deficit hyperactivity disorder(ADHD)and healthy controls, Psychiatry Research, Volume 340, 2024, 116108, ISSN 0165-1781, https://doi.org/10.1016/j.psychres.2024.116108.

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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

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山下裕毅
山下裕毅

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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