分かりにくいけれど面白いモノたち
「古生物ぬい」のこだわり、そして「Nuiパン」の発想力 ブームを支える開発者たちに聞いた、ぬいぐるみ作りの“秘訣”とは(8/8 ページ)
「ロールの巻きで言うと、この『シナモンロール』の巻きの最後の部分は、試作では縫い目が巻き終わりに真っ直ぐついてたんですが、曲線になっていた方がリアルかなと思って。巻き終わりの位置もランダムに見えるようにして、手で巻いている感じを出しました。あんまり気がつかれないとは思うんですけど」と伊藤さん。この細部まで、パン屋さんが作っている感に持っていくアイデアもすごいけれど、それに応える製造技術もすごい。
「私が個人的に気に入っているのは、『マリトッツォ』の苺を、真ん中は刺繍にして、その他はプリントにしたところだったりします。全部刺繍でやっちゃうと見た目が重くなるというか、見ていて疲れちゃうと感じました。転写の部分と刺繍の部分のバランスをとってあげると高級感もあるし、つくり込みのバランスも良くなるかと思っています。モチーフが食べ物なので、そういうバランスは気をつけています」と伊藤さん。
出来ることは全部見せるというのではなく、ぬいぐるみとしての魅力を損なわない伊藤さんのバランス感覚が、この製品をここまで魅力的にしているのかもしれない。自分でもカバンに付けているという伊藤さんは、まず、自分と世代が近い、大人の女性も楽しめるものにしたかったのだそうだ。
手に取ってほしい相手に向けてまっすぐ
「大絶滅展」のぬいぐるみを作った木村さんは、子どもが楽しめるを第一に考えていると話していて、どちらも、そのターゲットに向けてまっすぐ作られているのだけど、どちらも「手に取ってほしい」相手を正しく把握している点で共通している。そして、それが他の世代にも魅力的に映るのが、今のぬいぐるみが持つ新しさのように思う。
「今、すごく、ぬいぐるみをバッグなんかに付けることが流行っていますが、それは自分の個性の表現としてマスコットを付けたりみたいな、そういうことかなと思っているんです。ただキャラクターのものをバッグに付けるというのは、私自身あんまりなかったですが、こういう『Nuiパン』みたいなものなら、シンプルに付けられるっていうか、何にでも合わせられるかなと思って作りました。言ってしまえば、ブランド物とかのバッグに付けても可愛いし、シンプルなバッグに付けてもワンポイントになるし、小学生のランドセルでも可愛く付けてもらえることは、意識してデザインしています」
この伊藤さんの言葉にあるように、今や、ぬいぐるみをバッグに付けたり持ち歩いたりが当たり前になっている。それが不自然に見えないのは、可愛いとか、おいしそうとか、シンプルとか、マニアックといった、様々な要素の境界線を曖昧にするようなところが、現在のぬいぐるみにはあるからなのだろう。そういう「緩いけれど甘くない」感じが、ブームの背景にあるように思う。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
新作「鬼武者」にハマったマンガ家が熱弁する、他とは違う“パリィ”の魅力とは?
-
2
経営「AIでラクして早く帰って」→社員「帰らない」 工数最大9割減のDeNAも悩むAI効率化の壁
-
3
Google、「Googlebook」の予約受付開始 899ドル(約14万円)から
-
4
“自動で耳コピ”アプリ、ヤマハが無料公開 音源読み込み→3分でピアノ譜に
-
5
悪質UIを体験できる「ダークパターン博物館」が話題 解約迷路、偽の閉じるボタンなど 全8種
-
6
OpenAI、数学者の独立諮問グループと連携 内部モデルは「100件超の未解決問題を解決」
-
7
OpenAI、フロンティアAIの国際標準づくりを米国主導で進めるよう提言 「RSIはまだ起きていない」
-
8
YouTube、収益化基準を2027年に大幅引き上げへ 新規参加条件が従来の2倍に
-
9
肖像画をChatGPTに読み込ませて出力→加工して納品 委託先による著作権侵害で、小学館「サライ.jp」が謝罪
-
10
Amazon、MetaのAIエージェント「Muse」による代理購入をブロック Shopifyは全店舗で対応へ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR