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がんになれば“アルツハイマー病”になりにくい……一体なぜ? マウスで検証 中国チームが発表

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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2

 中国の華中科技大学に所属する研究者らがCellで発表した論文「Peripheral cancer attenuates amyloid pathology in Alzheimer’s disease via cystatin-c activation of TREM2」は、がんとアルツハイマー病の逆相関関係の分子メカニズムを解明した研究報告だ。

 アルツハイマー病とがんの間には疫学的に興味深い関係がある。がんの既往歴を持つ人はアルツハイマー病を発症しにくいというデータが以前から報告されていたが、その理由は長らく不明だった。

 研究チームはアルツハイマー病のモデルマウスに肺がん、前立腺がん、大腸がんの細胞を移植し、末梢のがんが脳にどのような影響を与えるかを調べた。

アルツハイマー病のモデルマウスへの各種がん細胞の移植実験

 その結果、がんを持つマウスでは脳内のアミロイドβプラーク(アルツハイマー病の病理学的特徴であるタンパク質の凝集体)が減少し、認知機能も改善することが分かった。

 この効果の鍵を握っているのが、腫瘍細胞から分泌され、血液を通じて脳へと届けられるタンパク質「シスタチンC」(Cyst-C)だ。シスタチンCは血流を介して脳に到達し、アミロイドβオリゴマーに直接結合する。重要なのは、シスタチンCが脳の免疫細胞であるミクログリア上のTREM2という受容体を活性化する点。これによりミクログリアはすでに形成されたアミロイドβプラークを分解できるようになる。

がん細胞から分泌されたシスタチンCが、脳内の免疫細胞(ミクログリア)の受容体TREM2を活性化し、アルツハイマー病の原因となるアミロイドβプラークを分解するメカニズムの図解

 研究チームは遺伝子改変マウスを用いてこのメカニズムを検証した。ミクログリアでTREM2を欠損させたマウスや、アルツハイマー病のリスク因子として知られるTREM2変異を持つマウスでは、がんによる改善効果が完全に消失した。これはシスタチンCとTREM2の相互作用がこの現象に必須であることを示唆している。

Source and Image Credits: Li, X., Tang, X., Zeng, J., Duan, L., Hou, Z., Li, L., … & Lu, Y.(2026). Peripheral cancer attenuates amyloid pathology in Alzheimer’s disease via cystatin-c activation of TREM2. Cell. https://doi.org/10.1016/j.cell.2025.12.020

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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。

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山下(Seamless)
山下(Seamless)

2014年から幅広い分野の研究論文をピックアップして解説しているメディア「Seamless」(シームレス)を主宰している。

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