小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
最新の動画生成AI、映像の現場でどう使う? Sora 2、Seedance 2.0、Kling O1を比較テストしてみた(2/3 ページ)
Sora 2は音楽も同時に生成できるのがポイントだが、これは1カットで成立するようなSNS投稿向けといった傾向が強い。先頭の画像が参考画像であるが、生成される人物はなんとなく傾向は似ているものの、別人のように見える。カメラワークは滑らかで、指定された秒数にも忠実ではあるが、太陽入れ込みの構図などはいかにも理想的すぎて、作りもののように見える。
Seedance 2.0は、特に指定したわけではないがちゃんとヘルメットをかぶっており、プロンプトで指示された内容をより深く解釈しているのが分かる。人物の顔も若干ツルッとしているが、特徴はよく捉えている。逆光によるフレアとその遮り感はリアルで、アップになる際にはズームレンズを使用するはずといった想定がなされており、次第に被写界深度が浅くなるといった表現が併用されている。
Kling O1はカメラワークも非常にナチュラルで、実際に車載カメラで撮影されたような構図のブレもうまく再現できている。また人物も、ホクロの位置や髪形、メガネの形状、服装など、参照画像の内容をかなり正確に反映できている。
続いて、雨の中の格闘シーンを生成してみた。参照画像は同じで、プロンプトは以下のようになっている。
Generation Task:
Generate a scene in which the referenced person is fighting in the rain.
Conditions:
Depict raindrops visibly striking the person.
Show the clothing becoming soaked and moving with added weight due to the rain.
Use low-light / dark environment lighting.
Sora 2は、雨や飛沫などの液体表現もちゃんとできており、一般的に十分なクオリティーだろう。ただ相変わらず参照画像はそれほど正確には反映されておらず、似てはいるが誰? といった出力になっている。カットやシーンをつないで長尺の作品にする際には、参照画像によって統一感を持たせる必要があるので、Sora 2は長尺作品の制作にはあまり役に立たない。
Seedance 2.0は、雨の表現は問題ないが、飛沫などの表現は見られず、そのあたりに解釈の違いが見られる。ただアクションシーンの動きに関しては、顔の緊迫感など表情もかなり工夫して生成されているのが分かる。後半に行くにしたがってだんだん何をやってるのかよく分からなくなってくるのは、生成AIにはよく見られる現象で、このあたりはもう少しプロンプトを工夫すれば追い込めるだろう。
Kling O1は、飛沫の表現はあるものの、Sora 2のように物理的に正しい方向で飛んでいるという感じはなく、唐突な印象がある。また雨の中と指定したにもかかわらず、雨が降っている表現が見られないなど、単純な指示の中で解釈のブレが見られる。カメラアングルは特に指定したわけではないが、相手方の背後を回り込むなど、シネマ的なお約束がよく分かっている。人物の顔や服装に関しては参照画像に忠実だが、表情に乏しい。
続いては動きの自然さ、重力計算、身体の回転といった整合性をチェックしてみた。参照画像は同じで、プロンプトは以下のようになっている。
Generation Task:
Generate an action scene in which the referenced person jumps, spins in midair, and lands.
Conditions:
Use slow motion (equivalent to 120 fps).
Ensure that the shadow falls correctly on the ground at the moment of landing.
Avoid any joint distortion or anatomical inconsistencies.
Sora 2では、一見整合性が取れていないように見えるものの、スローで確認すると身体の裏表なども間違っておらず、身体の整合性は取れている。空中での足の動きが慣性の法則にのっとっていないために変な感じがするだけで、着地における重力表現などは正確である。
Seedance 2.0は、こうした身体の回転といった計算が非常に苦手なようで、回転中の身体の裏表や上下が頻繁に入れ替わっている。3回生成させて一番マシだったのがこれである。生成自体は速くなっているが、2024年ぐらいの動画生成AIでよくあった間違いからはあまり進化していない。
Kling O1は、重力表現や身体の回転といった表現に無理がなく、かなりうまくこなしている。着地における重量表現も問題ない。とはいえ、身体を回転させるというプロンプトがうまく理解できず、最初は単にジャンプして着地するような動画しか生成できず、これが3回目のトライである。
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小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
クラウド活用にリモート編集環境と、映像にまつわるプロフェッショナルの分野にDXの波が押し寄せている。プロの現場で何が起こっているのか。最新のITトピックを小寺信良氏が解説する。
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