ゲーミングヘッドセットは、ついに「平面磁界駆動」に手を伸ばした オーディオファンも注目のASUS「ROG Kithara」という挑戦(2/3 ページ)
これは、単なるカードではありません。一つ一つ工場出荷時にサウンドチェックを受け、シリアルナンバーと共に、その個体固有の周波数特性のグラフが記載されているものなのです。
ハイエンドオーディオの世界では見かけることもありますが、ゲーミングデバイスでここまで徹底した品質管理をアピールする製品は稀です。このカードがどれほどガジェット好きの心をくすぐる“本気の証”であるかは、言うまでもありません。
スペックについても確認しておきましょう。ステルスマグネット設計を採用したHIFIMAN製100mm平面磁界駆動ドライバーを搭載し、周波数特性は8Hzから55kHzという超広帯域をカバー。そして重要なのが、インピーダンスが16オームと非常に低く抑えられている点です。通常、平面磁界駆動ヘッドフォンは鳴らしにくく、専用の強力なヘッドフォンアンプが必要になることが多いのですが、ROG Kitharaはスマホやゲーム機のコントローラーに直挿ししても十分に鳴らせる設計になっています。この「扱いやすさ」も、ゲーミングデバイスとして非常に優秀なポイントです。
実際にゲームプレイで試してみると、その違いは歴然でした。環境音、BGM、アクション音、そしてパーティキャラの声が、それぞれ非常にバランスよく分離して聞こえてきます。音がまとまらず、それぞれの音が“どこから鳴っているか”という定位感が抜群に良いため、まさにそのフィールドで自分が動いているかのような臨場感が増します。
接続性の多様さも特筆すべき点です。付属のケーブル類が非常に充実しており、3.5mm、4.4mmバランス、6.3mm変換アダプター、さらにはUSB Type-C接続のDAC内蔵アダプターまで同梱されています。プラグの交換はネジを回すだけでなく、ロック機構も備えているため、使用中に緩んで外れてしまう心配がありません。この細部へのこだわりも、ゲーミングデバイスとしての信頼性を高めています。
特に、ゲーミングデバイスに4.4mmバランス接続ケーブルが標準付属するのは珍しいです。バランス接続は、左右の音の信号を独立して伝送することで干渉ノイズを抑え、音質を向上させるヘッドフォンの駆動方式で、もともとは放送機器で使われていた技術でした。それが1970年代以降に家庭用オーディオで使われるようになり、ポータブルオーディオでも2000年代から高級機を中心に使われるようになっています。使用するには対応するヘッドフォンアンプを用意する必要があるものの、これに最初から対応しているということは、ROG Kitharaがゲームだけではなく、オーディオ製品として設計されている証拠といえるでしょう。
さらにMEMSマイクは着脱式です。ボイスチャットが必要なゲームプレイ時はマイクを付けてゲーミングヘッドセットとして使い、音楽や映画を楽しむ時はマイクを外す。外してしまえば、外見も性能も完全に「10万円クラスに肉薄するリスニングヘッドフォン」に早変わり。この二面性もROG Kitharaならではの強みです。
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