小寺信良の「プロフェッショナル×DX」
「衛星放送」終焉の序章か――「BS4K」民放5社撤退のインパクト(1/3 ページ)
4月15日、BS-TBSは2027年1月24日以降の衛星基幹放送業務の認定更新を行わず、「BS-TBS 4K」の放送を終了すると発表した。すでに先行して在京キー局系列のBS放送は、4局が撤退を表明している。時系列で言えば、最後がTBSということになる。
| 発表日 | 放送局 | プレスリリース |
|---|---|---|
| 3月27日 | BSフジ | https://www.bsfuji.tv/top/info/pdf/20260327.pdf |
| 3月27日 | BSテレ東 | https://www.bs-tvtokyo.co.jp/company/press/pdf/20260327.pdf |
| 3月30日 | BS日テレ | https://www.ntv.co.jp/info/press/pdf/press213.pdf |
| 4月3日 | BS朝日 | https://www.bs-asahi.co.jp/wp-content/uploads/2026/04/61c702d528db83043a57c4d52a146407.pdf |
| 4月15日 | BS-TBS | https://bs.tbs.co.jp/announce/images/BS-TBS%204K%20放送終了に関するお知らせ.pdf |
終了の理由は同じで、BSでは放送に必要な広告収入が得られなかったことだ。放送事業は免許制なので、事実上の免許返納ということになる。
過去に放送事業者が、免許を返納した例は非常に少ない。記憶にあるのは、21年に「ザ・シネマ4K」の運営会社である東北新社が、放送認定時に外資規制違反があったことへの処分として、事業者認定が取り消された例ぐらいである。ただこれは取り消しであって、自主返納ではない。
それが5局いっぺんに返納、放送事業終了というのは、日本人にとって初めての経験であるはずだ。
いつから出てきた話なのか
もちろん、その予兆はあった。2025年9月に、総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会・衛星放送ワーキンググループ第15回」での議論をベースに、撤退の可能性を整理している。
その後、2025年11月に、「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会 衛星放送ワーキンググループ 第二次取りまとめ」が公表された。この取りまとめを俯瞰すると、「4K放送」というフォーマットを維持したい政府と、「衛星放送」というインフラ事業がうまくいかない民放との考えが、かみ合っていない印象がある。
取りまとめにはBS放送の窮状が盛り込まれ、映像コンテンツ制作支援も含めて何らかの政策的テコ入れが必要とされた。しかし民間放送を政府が資金援助する仕組みは存在しない。当然、2026年度の政府予算編成にも具体的に何も組み込まれなかった。
そもそも、「魅力的なコンテンツがあれば成功する」という前提は、正論ではあるが先は長い。4Kという高解像度を生かしたコンテンツなどというが、そんなことを言っている時点で考え方が古い。
手のひらに入るスマートフォンやアクションカメラでさえ4K解像度で撮影でき、ネット配信でも4K・HDRが珍しくない現代において、すでに4Kは撮影・制作の基本フォーマットである。一部伝送ビットレートなどの都合で、最終的に旧フォーマットであるHDを利用しているだけだ。
衛星放送というインフラを維持したいのであれば、最適解は地上波番組の4Kサイマル放送だ。多くの人は同じ番組が高解像で見られるなら、わざわざ地上波を見る必要はない。
ただそうなると、地上波地方局の不要論につながる。これは民放連が承諾しない。民間の力だけで日本中をカバーするという、テレビ放送初期の手法をこれまで維持してきて、地域産業の要となっている放送局も多い。インターネットの高速回線が世界中をカバーする中、方法論としては時代遅れなのは間違いない。だが日本全国各地のテレビメディア産業を維持するためには、衛星放送を見捨てるという選択をする以外にない。
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