9月8日ごろから一部メディアが報じたところによると、民放5局が2027年にもBS 4K放送から撤退する方針を固めたという。同日行われた総務省「デジタル時代における放送制度の在り方に関する検討会・衛星放送ワーキンググループ第15回」での議論がソースになっているようだ。
現時点ではまだ議事録が公開されていないため、具体的にどういう話だったのかは分からないが、資料は見ることができる。ある意味4K放送の目玉として鳴り物入りで始まったBS4K放送だが、収束へのシナリオが開始されたと考えていいだろう。
そもそも衛星放送による4K・8K放送は、20年に開催予定であった東京オリンピックをターゲットに、国策として設定された。CS放送が先にスタートし、BSで4K・8K放送がスタートしたのが18年12月のことである。
ただご承知のように世界的パンデミックの影響で、東京オリンピックは1年延期して21年開催となった。準備期間が1年延びたことは良かったが、逆に言えば勢いで波に乗るタイミングを逃す結果となった。
技術的にもハードルがあった。チャンネルが入りきれないことから、従来の右旋放送の他に、左旋放送が開始された。左旋放送は従来設備では受信できず、アンテナ設備をはじめとする機材更新が必要となった。開始当初左旋放送に存在したのは、ショップチャンネル4K、4K QVC、ザ・シネマ4K、WOWOW 4K、NHK BS8Kであった。
だが21年にザ・シネマ4Kの運営会社である東北新社が、放送認定時に外資規制法違反があったことの処分として、事業者認定が取消しとなり、放送が強制終了した。
また24年にはWOWOWが収益性の悪化などを理由に、放送撤退を表明。25年2月末に停波した。さらにショップチャンネル4K、4K QVCが25年4月1日に右旋へ移ったため、現在はNHK BS8Kのみとなっている。
放送としての4Kは、どこへ行くのだろうか。
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