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“ナルシストな上司”ほどリモートワークを嫌う? 米大学がフォーチュン500のCEOや管理職を調査
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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
米ペンシルベニア大学ウォートン・スクールに所属する研究者らが発表した論文「Worship me at the office altar: Why narcissistic leaders resist remote work」は、自己愛(ナルシシズム)傾向の強いリーダーほどリモートワーク(在宅勤務)に抵抗することを実証した研究報告だ。
新型コロナウイルスの流行を経てリモートワークが定着した一方で、社員を強硬にオフィスへ呼び戻そうとするリーダーは後を絶たない。その背景には、リーダーの性格、特に自己愛が関係しているという。
自己愛が強いリーダーは、他者をコントロールし、周囲から注目や称賛を浴びることで、自分の特別感や優位性を実感したいという強い欲求を持つ。
オフィスという物理的な空間は、声の大きさや態度で自分の権威を見せつけ、部下からの畏敬の念を直接感じ取れるステージともいえる。しかし、リモートワークになると状況は変わり、オンライン会議の画面上では特別感を演出できない。メールやチャットでは反応にタイムラグが生じるため、自分が敬われているという快感も得にくい。その結果、自分の権力や地位が脅かされているように感じ、リモートワークに抵抗感を抱くという。
検証は3つの調査で行われた。第1の調査では、2020年のFortune 500企業のCEO259人を分析した。ナルシシズムの測定には、年次報告書における本人写真の大きさ、署名のサイズ、ナンバー2の役員との報酬格差などの間接指標を用いた。
その結果、ナルシシズム度の高いCEOほど、パンデミック初期の公式発言でリモートワークに強く反対し、反対理由の数も多かった。また、取締役会議長の兼任や社外取締役ポストの数を介した間接的な影響も、現場労働者に依存しない業種において確認された。
第2の調査は、米国の管理職359人を対象に実施した。今度は本人への質問でナルシシズムを直接測定したが、結果は同じで、自己愛の強いリーダーほどリモートワークに抵抗し、その関係は権力欲(他者の支配とコントロール)と地位欲(他者からの称賛と尊敬)の両方によって説明された。
この効果は、単に部下を信頼していないだけや、信頼、ビッグファイブ、マキャベリズム、サイコパシーなどといった他の性格特性など自己愛以外の要素を統計的に排除しても残った。
第3の調査は546人の管理職を対象に実施。一部の参加者に「スティーブ・ジョブズのような偉大なCEOはナルシシストだった」といった趣旨の文章を読ませたところ、そのグループはリモートワークへの反対度が有意に上がった。ただしこの調査では、抵抗を媒介したのは権力欲のみで、地位欲を介した効果は確認されなかった。
多くの上司は、オフィス回帰の理由として「生産性の維持」や「社内コミュニケーションの活性化」、「企業文化の醸成」といったもっともらしい理由を掲げる。しかしこの研究は、その背後に、自分をもっと敬ってほしい、部下を直接支配したいという個人のエゴが隠れている可能性があると、研究者らは指摘している。
Source and Image Credits: Shandell, M. S., Elliott, C. E., & Grant, A. M. (2026). Worship me at the office altar: Why narcissistic leaders resist remote work. Organizational Behavior and Human Decision Processes, 195, Article 104496. https://doi.org/10.1016/j.obhdp.2026.104496
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