Stripe、AIモデルゲートウェイのOpenRouter買収 400以上のAIモデルを束ねる中立基盤は維持

 米決済インフラ企業のStripeは8月19日(現地時間)、AIモデルのゲートウェイ/ルーティングプラットフォームを手掛ける米OpenRouterを買収することで合意したと発表した。OpenRouterも同日、自社ブログでこれを認めた。買収総額は公表していないが、米The New York Timesによると75億ドルという。

(画像:Stripe)

 Stripeは米OpenAIをはじめAI企業の課金基盤を数多く支えており、AI経済の裏方という立ち位置を強めてきた。2024年には暗号資産インフラの米Bridgeを11億ドルで、2026年1月には従量課金基盤の米Metronomeを買収している。

 OpenRouterは2023年創業のニューヨークに拠点を置く非公開企業で、自らを「世界初、最大のモデルマーケットプレイス兼ゲートウェイ」と位置付ける。開発者はOpenRouterのAPIを1つ組み込むだけで、OpenAIやAnthropicをはじめとする多数の事業者のモデルを、個別に連携を作り込むことなく切り替えて使える。Stripeによると、対応するのは80社を超えるプロバイダーが提供する400以上のモデルという。OpenRouterによると、現在は1日当たり10兆トークン以上を処理し、1000万を超える開発者と企業が利用している。推論の処理量は創業以来、毎年10倍以上のペースで伸びているという。社員数は約90人。

OpenRouter概要(画像:OpenRouter)

 Stripeは昨年から企業のトークンコスト最適化に取り組んでおり、「Token Billing」などの製品を投入してきた。パトリック・コリソンCEOは「AIで開発する企業にとって、トークンは中核となる通貨だ。現実の経済的な可能性は、希少な計算資源をどれだけうまく使えるかにかかっているのは明らかだ」とコメント。決済手段や承認率、不正対策といった変数を最適化してきた発想を、そのままトークンの世界に持ち込む構えだ。

 OpenRouterは公式ブログで、買収後もミッション、名称、製品、ロードマップは変わらず、既存の連携に手を入れる必要もないと明言した。ルーティングの判断についても「特定のモデルにも、特定のプロバイダーにも、親会社にも左右されない」とし、ユーザーにとって最善かどうかだけで決めると強調している。同社はかねて「LLM版のStripe」と呼ばれてきたとし、複雑な仕組みをAPIの背後に隠すという共通の発想を持つ相手だからこそ組んだ、との立場を示した。

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