危機管理広報のプロが分析

渦中のGMO、熊谷代表の発信は“火に油”か? 「経営トップが自ら広報」の功罪(4/4 ページ)

危機管理広報では、新たな話題を増やすことにも慎重であるべき

 最後に、危機対応の最中に新たなニュースの材料を提供することの是非についても考えてみたいと思います。例えば今回、熊谷代表が政府への能動的サイバー防御の要請を大きく打ち出したことで、メディアにとっては新たな報道の切り口が生まれました。

 しかし、こうした話題が報道される際には、その背景にあるサイバー攻撃の被害や企業(GMO)の責任についても改めて触れられることになります。結果として、ネガティブな報道を再び広げるきっかけになる可能性もあります。

 もちろん、報道を減らすために必要な情報開示を控えるべきだということではありません。被害状況や補償方針、再発防止策など、顧客や社会に伝えるべき情報は、引き続き積極的に公表する必要があります。

 一方で、危機対応の最中に、経営トップ自らが新たな話題を積極的に提供することについては、その効果を慎重に見極めるべきではないでしょうか。平時であれば、経営トップの発信力は企業の大きな武器になります。しかし有事には、同じ発信力がネガティブな報道の機会を増やし、企業のブランドをさらに傷つけてしまう可能性もあります。

 被害者や社会に対して説明責任を負う情報は、積極的に開示しなければなりません。一方で、それ以外の新たな話題を発信することが、結果としてネガティブな報道の燃料を投下する形となり、批判をさらに広げてしまうこともあります。今回の事案は、業種を問わず、企業の経営者や広報担当者にとって、危機における情報発信のあり方を改めて考える機会になるのではないでしょうか。

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