テレビとネットのいま
アニメもニュースもスマホで“実況”――TOKYO MX「エムキャス」がリアルタイム配信にこだわる理由(1/3 ページ)
東京ローカルから全国のネットユーザーに――TOKYO MXの番組がリアルタイム視聴できるスマートフォン向け無料アプリ「エムキャス」の実証実験が7月に始まった。アニメ作品の放映数が多いことでファンには有名な同局のこの取り組みは「地方のアニメファンに救いの手?」とたちまち話題になった。現在は実証実験ということだが、オンデマンドではなく、あえてリアルタイム視聴にこだわっているのが特徴だ。その理由と、今後の可能性は。
TOKYO MXは、1995年に東京都で6番目に開局した民間放送テレビ局だ。東京ローカルの独立局として地域に密着した番組や、オピニオン色の強い情報番組など独自路線を展開している。2007年からYouTubeに自社制作番組を配信するなどネット戦略にも積極的に取り組んできた。
スマートデバイスの普及や通信の高速化が進む中、キー局のように自社でオンデマンド配信を展開することも検討したが、看板番組は日々のニュースを軸とした生放送の帯番組が多く、蓄積したコンテンツを販売するという形のサービス運営はなじまないのではという懸念があったという。
とはいえ、全国で視聴可能になるネット配信は何らかの形で取り入れたい。TOKYO MXの特色を生かした活用法を考えた結果、「リアルタイムに同時放送する」という路線に行き着いた。ネット配信を放送の延長として捉え、テレビではなくネットを通した“視聴者”を増やすという発想だ。地方に提携局があるキー局では逆に難しい施策で、独立局ならではのアプローチだという。
デジタルコンテンツ開発部長の茅根由希子さんは「もちろん視聴率には影響しないが、どうしても放送地域が限定されてしまう環境でリアルタイムに見てくれている“視聴者”が増えることはTOKYO MXにとって大事なこと。今はTwitterなどで声も集められ、番組制作側のモチベーションアップにもなる」と意義を話す。
「地方のアニメファンに救いの手!」 予想以上の反響
昨年夏から約1年かけて、リクルートメディアテクノロジーラボとともにアプリ「エムキャス」(iOS/Android)を開発した。こだわったのは、画質と視聴の快適さだ。通勤・通学の電車の中でもストレスなく見られるよう、通信環境に応じて画質を変更し、スムーズに再生。AirPlay/Cast機能を使って自宅のテレビに映す機能や、視聴予約機能も搭載する。開発を率いたクロスメディア推進部長の服部弘之さんは「ワンセグとは違う、スマートデバイスに適したスタイルにできた」と自信を見せる。
7月1日にリリースし、公式Twitterで公開を告知。「ひっそり始めた」(服部さん)にも関わらず、初日だけで10万ダウンロード以上を記録し、想定を超えたアクセスが集まった。
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