小学館「マンガワン」、「アクタージュ」原作者も別名義で起用 経緯を説明
小学館は3月2日、漫画「アクタージュ act-age」の原作者で、2020年8月に強制わいせつ容疑で逮捕・起訴され有罪判決を受けたマツキタツヤ氏を、漫画配信サービス「マンガワン」にて別名義で起用していたことを発表した。マツキ氏は「八ツ波樹」というペンネームで、漫画「星霜の心理士」の原作を担当していた。
同作は25年8月連載開始で、当時の時点で強制わいせつの執行猶予は満了していた。小学館によれば、起用のきっかけは24年8月29日、マンガワンの編集者がSNSでマツキ氏に接触したこと。翌日、編集者は同氏から星霜の心理士の原作となる作品を執筆していることについて共有を受け、9月に当時のマンガワン編集長による許可のもと、マツキ氏と対面した。
この際、編集者はマツキ氏から被害者への謝罪や、事件に対する後悔の念を抱いていることについてヒアリングしたという。その後、編集者はヒアリング内容を編集長に報告。承認を得た上で、マンガワンでの掲載を目標としたやりとりを開始した。
最終的には、マツキ氏が事件後に心理士との面談を重ねており、担当心理士も心的療養や更生が十分になされていると評価していたこと、過去の反省が作品執筆の動機にもなっていたことから「これをもって社会復帰を目指すことは否定すべきではない」と判断。八ツ波樹の名義で星霜の心理士の原作者として起用するに至ったという。
「判決の確定及び執行猶予期間の満了を確認し、事件に対する反省の姿勢や再発防止への取り組み、専門家による社会復帰支援状況について確認を行い、編集部内で検討した」(小学館)
別名義の利用はヒアリング時点でマツキ氏から希望があったことを受けた対応としている。「八ツ波氏(マツキ氏)は、旧ペンネームで活動することによって被害に遭った方々に事件に関する記憶を呼び起こすことなどを懸念し、二次加害につながらない状況での執筆活動を希望していた」(小学館)
ただし当時の判断について「公表せざるを得なくなった現在、この方法が本当に『被害者配慮』になっていたのか、被害に遭った方々をより傷つけてしまうのではないかという点については、マンガワン編集部は更に熟慮すべきであった」とも説明している。
作画を担当する雪平薫氏には、編集者とマツキ氏が対面の上、事前に経緯を説明していた。雪平氏は「世間にこの事実が知られた場合に降りかかりうるリスクなどを承知の上、『漫画(原作)を読んで涙が出たのは生まれてはじめてで、これは自分が描くべき作品だと感じた。本作のテーマや社会的意義、面白さは世に広めるべきだ」と依頼を受諾いただいた」(小学館)としている。
今回の発表について、マツキ氏と雪平氏には相談済みで、両氏とも受諾したという。雪平氏は作画と連載を継続する方針としているが、作品の更新は一時停止する。
マンガワンを巡っては、漫画「堕天作戦」の原作者である山本章一氏が児童買春・ポルノ禁止法違反(製造)の罪で逮捕・略式起訴され連載中止になったにもかかわらず、漫画「常人仮面」の原作者としてペンネームを変更の上起用したことなどが問題視され、SNSで批判を集めている。山本氏の件については、作画担当の鶴吉繪理氏にも説明はなかったという。
小学館は同日、第三者委員会を設置し、マンガワン編集部における作家・原作者起用のプロセスおよび編集部の人権意識などを調査する方針も発表した。
「弊社は、性加害、性搾取、あらゆる人権侵害を決して許しません。人権尊重は企業が社会の一員として活動するうえで最も重要なことだと認識しております。あらためて、被害に遭われた方々に深くおわび申し上げます。そして不安を抱かれている全てのみな様にも深くおわび申し上げます」(小学館)
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