公正取引委員会(以下、公取委)が公式Xで6月22日に投稿したアニメの制作環境に関するポスターを巡り、画像生成AIの使用を指摘する声がSNS上で相次いでいた。公取委はITmedia NEWSの取材に対し、イラストは委託先の制作会社が手がけ、その制作過程で人物や小道具などの素材に生成AIを使っていたと回答した。
投稿は、契約条件の明示や報酬の交渉、追加作業への対価などを点検するよう、アニメーターに呼びかける内容だった。アニメーターを支援する趣旨だっただけに、その告知に生成AIを使うのは矛盾しているとして、批判の声が上がっていた。
発端となったのは、投稿に添えられたイラストだ。頭を抱える作画担当者を描いたものだが、生成AIの出力に特有の絵柄だとの声に加え、アニメ制作の現場のはずが照明スタッフが描かれている、アニメ制作スタッフが無線機(トランシーバー)を持っているなどといった違和感のある描写も挙げられ、「制作現場への理解が足りないのではないか」との指摘が出ていた。
公取委取引調査室の担当者によると、この広報資料は制作会社に委託したもので、実際に手がけたのは、その制作会社から再委託を受けた事業者に所属するイラストレーターだという。生成AIを使用したのも該当のイラストレーターで、人物や小道具などの素材を出力し、それに編集を加えてデザインを仕上げたという。利用の理由については、委託先を通じて「効率的に作成するためだった」と聞いていると回答した。
委託にあたって、公取委は仕様書で生成AIの使用を禁じてはいなかった。ただし、著作権など知的財産権については制作会社に適切な対応を求めており、生成した素材が他者の著作権を侵害していないか、既存作品との類似性や依拠性といった文化庁のガイドラインが示す観点は確認していた。
一方、描写について第三者への監修や確認は依頼していなかった。担当者によれば、公取委が行ったのはアニメ制作現場の取引実態の調査で、筆記具など現場で使う道具の細部まで十分な知見があるわけではなかったと説明する。納品物には目を通したものの、「詳しい方が見ると、変なところあったのかもしれない」とコメントした。
SNS上で反響が広がっていることは承知しており、今後の周知活動は関係者と協議しながら適切に対応していきたいと担当者は話す。投稿の削除や画像の差し替えを行うかどうかについては、明言を避けた。
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