「今年はWireless USB元年に」
「今年はWireless USB元年に」──USBコントローラ大手のNECエレクトロニクスが、ケーブル不要の新USBに期待をかけている。既に世界初となるチップのサンプル出荷を始め、米国では年内にも対応製品が登場する見込みだ。国内では通信方式の周波数帯をめぐる規制緩和にもめどがつき、今年中ごろ以降には製品化の環境が整う見通し。国内メーカーによる搭載製品の登場は「2006年度末までには」と予想している。
Wireless USBは、PCとデジタルカメラ、プリンタなどの機器間を無線で接続するUSB規格。NECや米Intel、米Microsoftなどが参加するWireless USB Promoter Groupが規格化を進めてきた。無線部分は高速転送が可能なUWB(Ultra Wide Band)を採用し、機器間の距離が3メートルの場合、規格上はUSB2.0と同じ480Mbpsでデータ転送が可能だ。
NECエレクトロニクスは昨年12月、Wireless USBに対応したホストコントローラのサンプル出荷を始めた(関連記事参照)。同社が2月28日に公開したデモでは約20Mbpsで対応試作ボード間を接続し、USBメモリ内に格納した数Mbpsのムービーを転送してPCで再生していた。
同社によると、「有線USB2.0の実効最高速度は理論値の半分となる240Mbps程度だが、これに無線特有のエラー訂正などが必要なため、製品版では200Mbps程度になるだろう」という。現在の消費電力は1ワット程度と、バッテリー駆動デバイスの搭載基準となる0.5ワットには遠いが、2008年にはクリアしてモバイル機器へ適用も期待している。
同社によると、対応製品は今年後半にまず米国で、PCI用・PCカード用インタフェースカードと、有線USB機器を無線化するワイヤレスハブから登場する見込み。2007年にはPCへの内蔵が始まり、2008年にはデジカメや携帯プレーヤーなどに展開、2009年にはPCを介さずに機器間の直接接続が可能になる──と予想している。
チップセット価格は現在は15ドル程度だが、8ドル程度まで下がる2008年には本格的に普及が始まり、同年の搭載機器は市場全体で2500万台規模に拡大すると見ている。
UWB利用へ規制緩和にめど
国内の製品化時期には規制が絡む。UWBは「Ultra Wide Band」の名称の通り、3.1GHz~10.6GHzまでの広い帯域を利用し、単位周波数当たりの出力をノイズレベルまで落とすことで、他のシステムが使っているのと同じ周波数帯を支障なく使用できるようにする技術。ただ実際に製品化するに当たっては、既存の他の無線通信との干渉が極力生じないよう、周波数帯をめぐる利害調整を済ませておくことが前提となる。
総務相の諮問機関・情報通信審議会の技術分科会UWB無線システム委員会は2002年9月からUWBの技術的条件について検討してきた。このほど報告案をまとめ、2月上旬に内容を公開した。
報告案によると、UWBと他の無線システムとの干渉について検討した結果、3.4GHz~4.2GHzまでは干渉軽減技術が必要とした一方、4.2GHz~4.8GHzについては、UWBの早期普及を目指し、当面は干渉技術なしでUWBで利用可能とすることが適当だとした。
ただ、3GHz~5GHzは第4世代携帯電話での利用が見込まれているため、干渉軽減技術なしで利用できるのは2008年末までの時限措置となる可能性が高い。
干渉軽減技術は「DAA」(Detect And Avoid)と呼ばれ、他の無線システムの電波との衝突を検知した場合、別の周波数帯に移動するなどして干渉を避ける技術。米国は早くからUWBに周波数を開放していたため不要だが、日本は2008年以降、欧州は2010年以降に必要になる可能性がある。DAAはベースバンド部とMACに組み込む必要があり、標準化が進められている。
情報通信審議会は3月3日までパブリックコメントを募集しており、問題がなければ報告をもとに4月以降、規制緩和が実現する見通し。財団法人テレコムエンジニアリングセンター(TELEC)が行う認証をパスすれば、無線LANなどと同様に免許不要で一般ユーザーが利用できるようになる。実際に製品認証が行える状態になるのは今年中ごろ以降になりそうだ。
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