Googleストリートビュー、撮影中エリアをサイトで告知 悪質な2次利用には法的手段も
プライバシー問題が指摘されていた「Googleストリートビュー」で、撮影中エリアの公開がスタート。差別を助長するサイトへの画像転載など悪質な2次利用には、法的手段も検討する。
「Googleマップ」で街並みの写真を見られる「ストリートビュー」のプライバシー問題で、Google日本法人は9月4日から、現在撮影中のエリアをWebサイトで公開するなど、追加の対応策を発表した。ストリートビュー画像の悪質な2次利用については、法的手段も検討するとしている。
ストリートビューは、360度カメラを搭載した専用車で撮影した街路の写真をGoogleマップ上で公開するサービス。画像に人物が特定できる形で写っていたり、民家の塀の中がのぞき見えるなどプライバシー問題が指摘されてきた。
総務省はストリートビューについて検討する研究会を開催。その結果をもとに8月末、同社に対して、(1)撮影・公開前に地方自治体や住民に情報提供する、(2)画像の削除依頼などに迅速に対応し、ネットを利用していない人でも削除依頼できるようにする、(3)サービスの周知を徹底する――といった対策を要請していた。
同社は9月4日からWebサイトで、現在撮影中の場所を「23区東部」「大阪府北部」など都道府県のブロック単位で公開。「街並みを自然な形でとらえ、待ち伏せができないようにするため」(同社の河合敬一プロダクトマネージャー)に、撮影日時や詳細な地域の公開は控えたとしている。
撮影した画像を公開する際は、地方自治体に事前に連絡する。「何日前までに告知する」などタイミングの確約はできないとしており、サービスイン前日になる可能性もあるという。「当社のサービスインのタイミングはスペースシャトルの発射のようなもので、技術的な問題で公開予定日直前に延期になることも多い」ためと、河合プロダクトマネージャーは説明する。
撮影対象地域の自治体や、サービスに疑問を持つ自治体には「要望があれば可能な限り」(同社の徳生健太郎 製品開発本部長)直接訪問し、説明や情報交換も行っていく。都道府県や政令都市を中心に訪問。人数に限りがあるため市区町村への訪問は難しいとしている。
サービス内容や削除方法を説明したパンフレットも配るなど、住民への広報にも務める。パンフレットはこれまでに、6000冊印刷したという。
不適切な画像が公開されていた場合は、サイトを通じて同社に削除依頼すれば「原則として2営業日以内に」(徳生 製品開発本部長)削除対応しているという。削除依頼は携帯電話からもできるほか、電話窓口も開いている。これまでに寄せられた削除依頼の件数は「極めて少ない」(河合プロダクトマネージャー)という。
悪質な2次利用には法的手段も
特定の地域のストリートビューの画像を差別的な意図で別のWebサイトに無断転載するケースなどが発覚しており、差別の助長につながる2次利用の問題が人権団体から指摘されていた。
同社は、悪質な2次利用について、被害を受けた本人から申告してもらえる仕組みを近く用意。違法性や利用規約違反の有無を確認した上で、コンテンツ管理者への削除要求や、訴訟を含む法的手段を検討する。サイトをGoogleの検索インデックスから削除することも検討する。
「Googleマップ全体の利用者は増えており、ストリートビューは見知らぬ場所に行く場合などにとても便利なサービス。『早くうちの地域で始めてほしい』という声を自治体からいただくこともある。サービスを継続していくためにも、対話を続けていきたい」と徳生 製品開発本部長は話していた。
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