テレワーク市場は年率10%成長 2015年には1兆円規模に――IDC Japanが予測
スマートフォン市場の拡大や、震災による企業の意識の変化などにより、テレワーク関連ICT市場は今後大幅に成長するとIDC Japanが予測している。
IT調査会社のIDC Japanは8月30日、「国内テレワーク関連ICT市場予測」を発表した。テレワークに関連するIT製品の市場規模は2010年以降、年率10%以上の成長を続け、2015年には1兆176億円規模になると予測している。
調査に当たって同社がテレワーク関連ICT市場と定義したのは、(1)業務用タブレット端末などのプラットフォーム市場、(2)モバイルセキュリティソフトなどのソフトウェア市場、(3)ネットワーク機器などのネットワーク市場。また、これら3つの大分類の下に、さらに7つの中分類と52種類の製品分類を定義した。
調査では、企業の約30%が既に何らかのテレワークシステムを利用していることが分かったという。しかし震災後、事業継続対策として「テレワークの重要性が増した」と感じるユーザーは40%以上となっており、同市場への需要はさらに高まっていくとIDC Japanは予測している。
IDC Japanの眞鍋敬 ソフトウェア&セキュリティ リサーチマネージャーによると、「テレワーク関連ICT市場は従来、年率1%程度の低い成長率にとどまっていた」という。だが、スマートフォン/タブレット市場の拡大や、東日本大震災の影響によるユーザー企業の意識の変化などによって、同市場の2010年〜2015年の年平均成長率は10.7%になるとみる。
テレワークシステムの導入率を業種別で見ると、「これまでは製造/金融/サービス業の導入率が高く、医療や公共団体での導入率は極端に低かった」(眞鍋氏)という。しかし震災によって公益事業におけるテレワークシステムの重要性が見直され、同業種におけるテレワーク関連製品の導入率が加速すると同氏はみる。
同社は併せて、国内テレワーク人口の推移と予測を発表した。同社が「就業時間の20%以上を執務場以外でICTを利用して仕事をする人」と定義したテレワーカーの人口は、2010年には全労働人口のうち16.6%だった。また2012年度以降の同人口は、「震災の影響による企業の事業継続性見直しの影響によって増加」するとみている。
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