「まさか当社がモデルになるとは」 マイクロソフトの“社食レシピ本”が登場
日本マイクロソフトの社員食堂のレシピを掲載した料理本が発売。「まさか当社が“社食本”のモデルになるとは」と広報担当者も驚く。
「まさかうちが“社食本”のモデルになるとは」――日本マイクロソフトの社員食堂のレシピを掲載した料理本「日本マイクロソフトの社員食堂 野菜たっぷり! デリレシピ63」(発行:キラジェンヌ)がこのほど発売された。野菜をたくさん使った色鮮やかなメニューを自宅でも味わえるのが売りだが、同社とレシピはやや意外な組み合わせ。そこにはITの“隠し味”も効いている。
同書籍は、日本マイクロソフトの社員食堂「One Microsoft Cafe」で実際に提供されているメニューを家庭でも作れるという料理本。内容は「チキンのバジル焼きトマトパプリカソース」「ナッツ風味のグリーン野菜きのこソース」など、野菜をふんだんに取り入れたレシピが中心となっている。
企業の社員食堂をモデルにしたレシピ本といえば、2010年に発売された「体脂肪計タニタの社員食堂」(大和書房)の発行部数が400万部を突破するなど話題になった。こうした中「まさかうちが社食本のモデルになるとは」と話すのは、日本マイクロソフト社長室コーポレートコミュニケーション部の岡部一志部長。
「今年4月に(レシピ本モデルの)オファーを受けた時は“なんでIT企業のうちなんですか”と思った。ヘルスケア製品を扱うタニタなどがオファーを受けたのは分かりますが……」(岡部部長)
レシピ本とIT戦略の意外な関係
意外なオファーの裏には、マイクロソフトが取り組むIT戦略との関連があったという。
同社は昨年2月、それまで都内5カ所に分散していたオフィスを品川本社に集約。これに伴い、社員が自席を持たずにどこでも仕事ができる「フリーアドレス制」を導入し、現在では2500人の社員のうち約60%が、モバイル端末などを活用してフリーアドレスで働いている(関連記事:フリーアドレス制が変えたワークスタイル)。
一方、新オフィスに設けた社員食堂は「人と人とのつながりを喚起する空間」を目指したと岡部部長。昼食メニューの提供のほか、社員の業務スペースとしての活用も推奨。夕方以降はアルコール類なども提供し、社員が集まってコミュニケーションできる場になっているという。
「日本マイクロソフトのようなIT企業なら、社員同士が顔を合わせなくても仕事ができるのに、あえて顔を合わせる場所を作ったのが面白いと思った」と話すのは、レシピ本の編集を担当したキラジェンヌの今津みなみさん。通常のレシピ本と異なり、社員食堂に込めた日本マイクロソフトの思いや、社員1人1人へのインタビューコンテンツも複数掲載したという。
また、同社が今年4月から取り組む、ITを活用して社員の健康増進を支援する「健康プログラム」も盛り込んだ。同プログラムでは、管理栄養士が監修する平均600キロカロリーの特別メニュー「栄養士オススメ!メニュー」を提供しており、書籍にもこのメニューが複数収録されている。
今後、Windows 8を搭載したPCやタブレット、スマートフォンで読める電子書籍も発売する予定という。「マイクロソフトといえばソフトウェアやサービスの会社だが、お客さんとのつながりをもっと持ちたいという思いがあった。(社食レシピ本を通じて)今までと違った形で日本の社会とつながっていきたい」と岡部部長は話している。
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