Facebookとマーク・ザッカーバーグCEOの2016年を振り返る(3/3 ページ)
人工知能(AI)の採用や米大統領選への影響などで何かと注目を集めた今年のFacebookを、海外速報部が振り返ります。
5月:社会的責任の増加
5月に入り、Facebook版Twitterの「トレンド」に当たる、「Trending Topics」(米国でのみ提供のサービス)が政治的に偏向しているとの指摘がありました。
この件は同月中のガイドラインの変更などで収まりましたが、後の11月、米大統領選挙でFacebookが果たした役割についての議論の萌芽は既にこのころからあったと言えます。
なお、8月にはTrending Topicsはほぼ完全自動化されました。
7月には白人警官による黒人射殺の経緯がライブ動画で中継され、それをFacebookが一時削除したことが問題になりました(後に復活させています)。
9月には「ナパーム弾の少女」をヌードだと判断して削除してしまい、批判が高まりました。10月には「コミュニティ規定」に反しても意義のあるコンテンツは表示するという方針を発表しました。
11月に勃発したFacebookの虚偽ニュース問題については別項で紹介します。
ザッカーバーグ氏は事あるごとに「Facebookのミッションは人々に発言の機会を提供し、世界を繋げることだ」と繰り返しつつ、「Facebookはメディアではない」と主張していました。
7月:第2四半期決算も過去最高を更新
前期に続き、モバイル広告が好調で売上高は前年同期比59%増の64億3600万ドル、純利益は186%増(約2.8倍)の20億5500万ドル(1株当たり71セント)と過去最高を更新しました。
11月:第3四半期決算も過去最高を更新
いやはや、こう毎四半期“過去最高を更新”だと怖くなってきます。さすがにMAUの伸びはゆるやかですが、この時点で17億7900万人でした。
11月:虚偽ニュース掲載問題
11月9日に多くのメディアの予想に反して共和党のドナルド・トランプ氏が次期大統領候補に選ばれると、この選挙結果はFacebookのニュースフィード上で拡散した虚偽ニュースの影響が大きいという批判が高まりました。
結果を予測しそこねたメディアの言いがかりだ、という見方もありますが、「クリントン候補は大量の武器を買い占めた」「ローマ教皇がトランプ氏を支持した」などという事実に反する記事のリンクがニュースフィード上で多数のユーザーの間で共有されていたのは事実です。
ザッカーバーグCEOはこの件を重視し、社内で取り組んでいる対策を事前に紹介するという異例の対応をしました。
同氏は12月、それまで「Facebookはメディアではない」としていたところを「Facebookは従来のどんなものとも異なる新種のプラットフォームだ。私はFacebookをテクノロジー企業だと考えているが、われわれには情報を表示するテクノロジーを構築すること以上の大きな責任があることを認識している。Facebookは人々が公に発言する新しい種類のプラットフォームであり、それはわれわれに新しい種類の責任があるということだ」と軌道修正しました。
12月:ザッカーバーグ氏とシェリル・サンドバーグCOOの公開ライブ動画
12月21日、ザッカーバーグ氏が自身のFacebookアカウントでシェリル・サンドバーグCOO(最高執行責任者)との約20分の「2016年を振り返る」ライブ動画を投稿しました。
ものすごく頭の良い2人が早口でいろんなことを語り合います。ここでもザッカーバーグ氏は、Facebookは従来の技術企業でもメディア企業でもない、新しいタイプのプラットフォームであり、社会的責任があることを自覚していると語りました。
2人の様子を見ると、ザッカーバーグ氏がサンドバーグ氏をとても信頼しているのが伝わってきます。トランプ氏のITトップ懇談会のFacebook代表は、ザッカーバーグ氏ではなくサンドバーグ氏でした。
*** 一部省略されたコンテンツがあります。PC版でご覧ください。 ***
2017年の目標は、何になるんでしょうか。また1月初旬に発表されることでしょう。
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