AWS、Alexaのクラウド処理をGPUから独自チップに切り替え 高速化でサーバコストを大幅削減
米Amazon Web Services(AWS)はこのほど、音声アシスタント「Amazon Alexa」のクラウドサーバ側の処理の多くを、GPU処理から独自チップによる処理に切り替えたと発表した。
AmazonはAlexaからの応答のTTS(Text-to-Speech)処理をサーバに搭載したGPUを利用する形で開発し、そのままGPUを利用してきた。しかし開発チームは利用者に不自然さを感じさせないために、そしてサーバの計算コストを抑えるために独自開発の専用チップによる処理に切り替えることを決めた。
AWSによると、Alexaのサーバ側の処理をGPUから独自開発の「AWS Inferentia」に切り替えたところ、処理の遅延(レイテンシ)が25%短くなり、サーバのコストを30%削減できたとしている。開発チームは、遅延を短縮できたことで、今後より複雑なアルゴリズムを導入し、品質の高いサービスをユーザーに提供できると考えているそうだ。
AWS Inferentiaを組み合わせたAmazon EC2(Elastic Compute Cloud)の「Inf1」インスタンスと併せて、2019年12月に開催したイベント「AWS re:Invent 2019」で発表している。
AWS Inferentiaは、人工知能の処理の中でも推論(Inference)をごく短い遅延で処理するASICだ。FP16(半精度浮動小数点数)とBF16(Bfloat16、Brain Floating Pointとも呼ぶ)の2種類の16ビット浮動小数点数データを64teraOPSで処理する。これはFP16とBF16を混在させた状態で処理しても同じだそうだ。さらに、8ビット整数のデータは128teraOPSで処理する。
AWS Inferentia ASICを組み合わせたEC2インスタンス「inf1.xlarge」の利用料金は1時間当たり0.368ドル(1年間、3年間の予約をすれば利用料金は下がる)。一方、NVIDIAのデータセンター・サーバ向けGPU「NVIDIA T4」を組み合わせたEC2インスタンス「g4dn.xlarge」の利用料金は1時間当たり0.526ドル(1年間、3年間の予約をすれば利用料金は下がる)。
AWS re:Invent 2019でInf1インスタンスが登場するまでは、NVIDIA T4 GPUを組み合わせたG4インスタンスが、推論向けインスタンスとしては最も利用価格が安かった。そしてAWSは、AWS Inferenceを組み合わせたInf1インスタンスは、NVIDIA T4 GPUを組み合わせたG4インスタンスに比べて処理のスループットが30%高いと主張している。低コストでAIの推論アルゴリズムを利用したいユーザーにとっては、AWS Inferentia ASICとG4インスタンスは有力な選択肢になるだろう。
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
この記事の著者
関連記事
こんなメディアも見られています
ITmedia NEWSに関連する情報をお探しであれば、こちらのメディアもお役に立てるかもしれません。
SpecialPR
本日の新着記事
アクセスランキング
-
1
パナソニックHD子会社、使用禁止の生成AIに従業員約33万人分の個人情報をアップロード
-
2
「Claude Mythos 5」、危害の兆候を顧みず実在の開発者を標的に──AnthropicとAISIが分析結果を公開
-
3
PHP脆弱性でいち早くサービス停止したコドモン 背景に「被害が出てからでは取り消せない」
-
4
GMO、不正取引の被害額を補償へ 見舞金5000円も 「お名前.com」FX用VPSへのサイバー攻撃で
-
5
「お前らの作品は所詮コピーだ」――富野由悠季さん、プロ論を語る
-
6
GMO、「能動的サイバー防御」発動を政府に要請 「お名前.com」FX用VPSへの攻撃で
-
7
「AIでエンジニア派遣は不要になる」のか? 各社に肌感を聞いた 求められる人材、明確に変化
-
8
ロリポップ改ざん問題でツイート炎上のGMO熊谷社長、「強気すぎた」と謝罪
-
9
コミックシーモア、流出は最大約420万件に メールアドレスや生年月日など 不正アクセスの経路特定・遮断は完了
-
10
「お名前.com」 のFX自動売買VPS、不正アクセスで金銭被害か 「600万円の損失」「55万円なくなった」……報告相次ぐ
ITmedia NEWS SNS
インフォメーション
注目情報をチェック
ITmediaNEWSをフォロー
あなたにおすすめの記事PR