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「ahamo」のインパクトに勝てず“炎上”――KDDIが「分かりにくい割引」をやめなかった理由(2/3 ページ)

KDDIが12月9日に発表したauの新料金プラン。ネット上では発表直後から「結局条件付きの割引か」「期待外れ」などの批判が続出した。ドコモの「ahamo」発表でシンプルな料金設定に注目が集まる中、なぜKDDIは複雑な割引をやめなかったのか。

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複雑な割引、なぜやめられなかったのか

 複数の割引によってユーザーを囲い込む施策が携帯料金の値下げを妨げているとして、総務省は10月に携帯業界の健全な競争を促すアクションプランを発表。大手3社に過度な囲い込みを行わないよう呼び掛けている。だが、KDDIが発表したデータMAX 5G with Amazonプライムは、これまで通り囲い込み前提の仕組みが目立つ。

 囲い込み前提の料金設定をやめられなかったのは、ユーザーの流出を防ぐことが目的だろう。だが他にもいくつかの理由が考えられる。

理由1: 安価なプランはUQ mobileで十分と考えていた?

 1つは、KDDIがサブブランド「UQ mobile」の新プランや、auとUQ mobile間での移行手続きを簡単にするといった施策で、十分に市場や政府のニーズに応えられると考えていた可能性だ。

 KDDIは10月末、政府の料金値下げの要請を受け、UQ mobileで月額3980円・データ容量20GBの新プランを発表した。月2980円・20GBのahamoよりは高いが、ソフトバンクが同じく10月に発表したサブブランド「Y!mobile」の新プラン(月4480円・20GB)に比べれば安い。

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参考:大手3社が発表した新プランの比較

 一方でau・UQ mobile間を移行する際に手数料を設けていたため、ユーザーからは「メインブランドとサブブランドで、乗り換えコストがかかるのであれば値下げとはいえない」と批判的な指摘もあった。

 そこでKDDIは、新プランを発表した12月9日夜に「2021年春をめどに、auとUQ mobile間の移行にかかる費用を撤廃する」「21年夏をめどに、プラン変更と同じような仕組みで簡単にauとUQ mobileを行き来できるようにする」といった方針を発表している。

 競合プランとなるahamoの場合、21年3月のサービス開始当初はドコモユーザーであっても無料の乗り換え手続きが必要だ。ドコモは「21年5月に通常の料金プラン変更と同じような扱いにする」と予告しているが、KDDIがauとUQ mobile間の移行コスト撤廃や、手続きの簡略化を近い時期に行えば、少なくとも移行のしやすさという条件は同じになる。

 もちろん、NTTドコモだけでなくソフトバンクや楽天モバイルも含め、競合他社が「既存プランをどう変えてくるか」次第で、メインブランドで提供しているプランの料金設定を見直す必要は出てくるだろう。

 実際、KDDIの高橋誠社長は12月15日に「1月中に対抗プランを発表したい」と発言している。au・UQ mobileどちらのプランになるかはまだはっきりしていないが「競争力のある料金プランをお届けしたい」としており、ahamoなどの評判を踏まえた料金設定になる可能性もある。

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