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AIで“ゲームキャラの出産二次創作”を何千回と生成する人も……ChatGPTの会話57万件から見えたヘビーな利用実態
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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説する。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。X:@shiropen2
米ワシントン大学などに所属する研究者らが発表した論文「AI Fiction in the Wild」は、AIチャットとの会話データを分析し、ユーザーがAIを使ってどれだけフィクションを生成しているのかを調べた研究報告だ。
研究者たちがChatGPTの実際の会話データ57万3453件(WildChat英語データセット)を分析したところ、全データの3分の1以上(34%)が、オリジナル小説や二次創作、ロールプレイなどの"フィクション生成"に使われていることが分かった。
特に生成数が多かったのは、既存のキャラクターを自分好みに動かす二次創作(フィクションの49%)や、性的な内容を含むエロティカ(フィクションの27%)のジャンル。これらの物語は、AIが持つ読者の細かな要望やニッチな性癖に即座に応え、ほぼ無限に文章を生み出せるという強みと相性が良い。
最も多く使われていたのは、「ドキドキ文芸部!」「フリーダムプラネット」「リーグ・オブ・レジェンド」「NARUTO」といったゲーム・漫画だった。
ただし、これらフィクション生成の80%以上を2%のユーザーが生成しており、ユーザー1人あたり1会話に絞って集計し直すと、フィクションの割合は34%~7.1%まで下がる。
例えば、同じキャラクターの少しだけ違うストーリー展開を、何カ月にもわたって何千回もAIに書かせ続ける超ヘビーユーザーがいる。具体的には「ドキドキ文芸部!」のキャラクターであるナツキが予期せず出産するという物語を、何千回も生成し続けていた。
研究者らが危惧しているのが、読書体験の自己完結化だ。従来の読書は、自分とは異なる人間の作者が作った世界に触れ、他者の考えと出会う行為だった。しかし、AIに自分専用の物語を書かせて自分で読むというループの中には、人間の他者が存在せず、作者と読者の境界線が消滅してしまう。
自らの欲望を瞬時に満たすためだけに物語をパーソナライズして消費するこの行為は、ポルノグラフィーの消費構造とよく似ていると指摘している。
AIは、読者が自分の読みたい物語をいつでもほぼ無限に手に入れられるという、新しいエンターテインメントの形を実現した。しかしそれは同時に、共通の本を読んで感想を語り合うような社会性が薄れ、孤独な物語の消費へと向かわせる可能性もある。
Source and Image Credits: Gupta, Neel, Maria Antoniak, and Melanie Walsh. “AI Fiction in the Wild.” arXiv:2606.22748 (2026).
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2019年にスタートした本連載「Innovative Tech」は、世界中の幅広い分野から最先端の研究論文を独自視点で厳選、解説している。執筆は研究論文メディア「Seamless」(シームレス)を主宰し、日課として数多くの論文に目を通す山下氏が担当。イラストや漫画は、同メディア所属のアーティスト・おね氏が手掛けている。
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