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▲ ヘッド部分
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GELJETビスカスインクが、普通紙印刷において優れた特徴を持っていることは述べたが、それをオンデマンドで飛ばす技術は簡単なものではない。インクジェット方式としては、構造的にもっともシンプルな、サーマル系技術は利用できない。微細なポンプを並べた構造を持つピエゾ素子を用いたヘッドが最適。それもピエゾのパワーを逃がさない、従来のピエゾ方式ヘッドとは異なる構造が要求されたという。
その詳細は開発者インタビューで紹介したが「ハンマーで叩くようにインク室に衝撃を加えることでインクを吐出する」方法で、粘性の高いGELJETビスカスインクを使いこなした。それが「GELJETワイドヘッド」である。ピエゾ素子に加える電圧波形によってドットサイズや飛翔速度をコントロールし、後から打ち出したインク滴が前のインク滴に追いつくことで空中合体、ドットサイズが変るM-Dot(Modulated
Dot Technology)という技術も取り入れることで、最少ドットから最大ドットまで7倍のインク重量比を実現。用紙種類や印刷モードに適したサイズのドットを打ち分けることにも成功している。
さらに特筆しておきたいのは、2列のノズルを千鳥配置することで300dpiピッチを実現した384ノズル1.27インチの長尺ヘッドである。上位機種のG707ではこのヘッド1個をまるまる1色に割り当て、全4個のヘッドが並ぶ贅沢な構成だ。一般にヘッド長が長くなると、ヘッドの傾きやノズル特性のバラツキなどにより高い精度が求められるが、少なくとも試作機を使う限り、そうした問題は微塵にも感じられない。
マイクロポンプを並べた構造のピエゾ方式では、ノズル密度を上げるのが難しく、またノズルあたりのコストが高いために多ノズル化でも不利と言われる。その中でのこれだけの数字は、驚きに値すると言っていい。ピエゾ方式の場合、ドットサイズを可変できるため、同程度のノズル数ならばサーマル方式よりも普通紙印刷は高速になる(普通紙印刷ではドットサイズの細かさがそれほど重要ではないため)。
以下に、Word 2003のノーマルテンプレートに文字を全面流し込んだ10ページのモノクロ文書を印刷した際の速度を片面、両面で計測した結果。およびリコーのGELJETビスカスインク解説ページ(A4約1.5ページ)を印刷した際の印刷時間を掲載する。その圧倒的な印刷速度の一端がわかるはずだ。なお、高速モード時の印刷品質は濃度が十分に高く、他社高速モードに比べ、実用性が高い印刷モードであることを付記しておきたい。
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| IPSiO G707での計測結果。単位は秒 |
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