“Real Pocket size PC”の実力はホンモノか?――新「LOOX U」を徹底検証する:店頭/直販モデルをじっくり比較(4/4 ページ)
富士通の「LOOX U」がフルモデルチェンジを果たした。店頭モデルとハイスペックな直販モデルを用意し、パフォーマンス、ボディの発熱、騒音レベルなどをテストする。
ACアダプタ接続時とバッテリー駆動時で変わる静音性
放熱性と密接に関係する動作時の騒音についても調べた。LOOX Uを樹脂製のデスクに置き、一定の距離から騒音計で騒音レベルを計測した。騒音計のマイクは、机上での使用時におけるユーザーの耳の位置を想定し、ボディ中央から約30センチ離し、設置面から約50センチの高さに固定している。室温は約24度、環境騒音は約28デシベル(A)で、周囲の雑音がほとんど聞こえない静かな部屋でのテストだ。
計測は発熱テストと同様、ACアダプタに接続し、Windows 7の起動から30分間アイドル状態で放置した場合と、そこからシステムに高い負荷がかかるPCMark05のCPUテストを30分間実行し続けた場合の2パターンで行った。電源プランは「バランス」だ。
計測結果は左のグラフに示した通りだ。LOOX Uはファン制御をかなり細かく行っており、アイドル時でもファンが回転しない状態と低速で回転する状態が交互に発生した。ファンが回転しない状態では当然ほぼ無音の状態となるが、ファンが低速回転しても、U/G90の場合は環境騒音に溶け込んでしまい、気にならない程度だった。一方、CPUクロックが高いU/G90Nでは、それより少し大きめの風切り音が鳴ることもあった。
高負荷時でも状況に応じてファンの回転数がかなり変動し、2台とも32~37デシベル程度の範囲で騒音レベルが推移していた。積極的にファンを使って放熱するようで、一度高速回転し始めると、大きめの風切り音が気になってくる。
ちなみに、バッテリー駆動時はファン制御をACアダプタ接続時ほどアグレッシブに行わないようで、ファンがあまり回転しなくなる。バッテリー駆動時で低負荷の場合、ファンが回転しないことも少なくなかった。
Windows 7のフル機能をポケットサイズで持ち歩きたいユーザーへ
今回は各種テストを行うことで、新型LOOX Uの実力を見てきたが、ジャケットの内ポケットに入れて持ち歩けるほどの小型軽量ボディと360度こだわったデザインを両立しながら、使い勝手や放熱面もしっかりしており、フルモデルチェンジした1世代目の製品としては、完成度が高いという印象を持った。
ポケットサイズに横16ミリピッチのキーボードと高解像度液晶ディスプレイを詰め込み、マルチタッチを含めたWindows 7の新機能まで網羅した欲張りなミニPCに仕上がっており、その凝縮感がたまらないというユーザーは少なくないだろう。場所を問わず、Windowsのフル機能が使える小型軽量のPCを探しているユーザーにとっては、非常に有力な選択肢といえる。
最後に1つ気になったところを挙げるならば、今回から対応したマルチタッチ機能という特徴を最大限に生かせていないことだ。前述の通り、LOOX Uは5.6型ワイドと小さな画面で1280×800ドット表示を実現している関係でドットピッチが非常に狭く、細かいタッチ操作を指で行うのは難しい。タッチ対応アプリケーションも用意されてはいるが、もともと大きな画面で使うことを想定した作りなので、LOOX Uで積極的に使いたいとは思わなかった。
今後は、LOOX Uの小さな高解像度ディスプレイでもマルチタッチによる恩恵が十分に得られるような独自アプリケーションやユーザーインタフェースなどの工夫があれば、アドバンテージをより明確に打ち出せるのではないだろうか。
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