「ユーザーは混乱している。だからシンプルな製品を」――PC Toolsが2011年版セキュリティ製品を発表:PC Tools製品発表会
PC Toolsが2011年版セキュリティスイートなど5製品を発表した。危険なファイルのダウンロードを防ぐクラウドベースの保護技術が加わっている。
PC Toolsは9月28日、セキュリティ製品およびPC最適化ツールの新製品を発表した。セキュリティ製品のラインアップは、スパイウェアの駆除に特化した「PC Tools Spyware Doctor 2011」、これにアンチウイルス機能を加えた「PC Tools Spyware Doctor 2011 with AntiVirus」、そして上記に加えファイアウォールやアンチスパムなども含む包括的な保護機能を提供する「PC Tools Internet Security 2011」の3製品。オンライン価格は、1ユーザー(3台)/1年間のライセンスで、それぞれ1980円/3480円/4980円となっている。一方、PC高速化ツールとして「PC Tools Registry Mechanic 2011」と「 PC Tools Performance Toolkit 2011」の2製品も投入。こちらは1980円/3980円だ。
PC Toolsは、2010年7月にBBソフトサービスと提携し、「SoftBank SELECTION」ブランドとして「PC Tools Internet Security」の販売を開始、日本のセキュリティ市場に本格参入している。同社はシマンテックにより2008年に買収されたが、Nortonブランドは高付加価値を提供するプレミアムセグメント、PC Toolsはより価格に敏感なバリューセグメントというすみ分けになる。
PC Toolsワールドワイドセールス担当のロバート・ウースターゲトル氏は、「ソフトウェアは進化を続けているが、一方で市場に製品が溢れ、消費者は混乱状態にある。これは私たちにとって大きなチャンスを生み出した」と述べ、「PC Toolsが提供するのは、シンプルで使い勝手に優れていながら、より効果的な製品であり、(混乱する)ユーザーのニーズを満たすものだ」と製品コンセプトを説明する。事実、同社はシマンテックによる買収以降、200カ国以上の国で展開しており、昨年度は売上を倍増させるなど急成長を遂げつつある。
一方、新製品の詳細については、プロダクトマネージメントディレクターのシャフィ・シャナバス氏が説明した。セキュリティスイートであるPC Tools Internet Securityは、同社マルチレイヤープロテクションと呼ぶ多段階での保護機能が特徴だが、2011年版ではこれを踏襲しつつ、新たに「ダウンロードガード」を搭載している。ダウンロードガードは、ファイルのダウンロード時にレピュテーションを参照するクラウドベースの保護技術で、シマンテックと同じデータベースを利用しているという。実はこれ以外にも一部のシグニチャや、検索エンジンの結果に表示される危険なURLを警告する「ブラウザガード」(ノートンセーフウェブ)など、バックエンドでノートン製品と共通化されている部分は多い。
※記事初出時、シマンテックと一部共有化されている技術の記述で誤りがありました。ノートンセーフウェブと同一の機能を提供するのはブラウザガードです。おわびして訂正いたします
また、PC Tools Internet Securityをインストールする前にマルウェアに感染したPCから脅威を取り除くツールが加わったほか、ビヘイビア検知の精度も向上したという。シャナバス氏は「(第三者機関の)AV-Test.orgが実施したテストでもマルウェア検出率のテストで上位3製品に入っている」と、高い保護機能を持つ点をアピールする一方で、「2011年版には新しい技術を導入しているが、重要なのはどのような技術が背後で動いているかではなく、ユーザーが使いやすいシンプルな製品を提供すること。PC Tools Internet Securityは複雑な設定を行う必要がなく、すぐに使い始められる。ユーザーを守るという観点から保護機能は増えているが(2011年版の)パフォーマンスはさらに軽くなっている」と改めて強調した。なお、製品サポートについては、PC Toolsが窓口になるが、日本語での対応は現在E-mailのみで、IMによるライブチャットや電話によるサポートは検討中としている。
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