「VAIO Z」の最新ハイエンド構成をテストする:最強の座、揺るぎなしか(4/4 ページ)
ひっそりと秋冬モデルで一部仕様をグレードアップした「VAIO Z」の直販モデル。その性能はどこまで達したのか、ハイエンドな構成で各種テストを実施した。
バッテリー駆動時間、騒音、発熱のテスト結果は?
バッテリー駆動時間については、海人氏のBBench 1.01を利用して測定した。無線LANでネットに常時接続し、「60秒間隔でのWeb巡回(10サイト)」および「10秒間隔でのキーストローク」の設定でテストしている。Windows 7の電源プランは標準の「バランス(ディスプレイ輝度40%)」を利用した。
この条件でのバッテリー駆動時間は3時間37分(残り5%)と、公称値(約8.5~9時間)からは大幅に見劣りする結果となった。2011年6月の発表当時にテストした店頭モデルに比べて約90分の差が出ているが、高解像度液晶やモバイル向けのデュアルコアCPUとしては最上位モデルを搭載していることを考えると、仕方がない部分もある。ディスプレイ輝度を下げ、より省電力重視の電源プランを適用するなどの工夫で、バッテリー駆動時間はもっと延ばせるはずだ。モバイルで長時間バッテリー駆動したい場合は、シート型の拡張バッテリーを検討すべきだろう。
静音性の傾向は、以前にテストした店頭モデルと変わらない。アイドル時や低負荷時の動作音は静かな部屋でなければ気付かない程度だが、CPUにマルチスレッドで負荷がかかったり、3DゲームなどでGPUに負荷がかかるような処理ではファンの音が大きくなる。これが金属的な少し独特な音なので、人によって気になるかもしれない。
ドッキングステーションは本体の約15センチ後方に設置してテストしたが、これくらい離すと低負荷時の騒音はほとんど分からない。3DゲームなどGPUに負荷がかかる処理の場合もドッキングステーションのファンは穏やかに回るので、GPU負荷が本体から切り離されるぶん、明らかにドッキングステーション利用時のほうが静かだ。
ボディの発熱も店頭モデルと同様の傾向だ。ファンが内蔵されている底面の右側はかなり熱くなるが、手がよく触れるパームレストには熱が伝わってこない。やはりドッキングステーション利用時のほうが相対的に温度が低かった。
オンリーワンの付加価値がリーズナブルに
VAIO Zは先進技術満載のフラッグシップモデルだけに価格は安くないが、発表から数カ月が経過し、値下げやキャンペーンなどもあり、ソニーストアでの最小構成は現時点で11万9800円からと、意外にリーズナブルな価格から用意されている。
2011年7月の発表当時は最小構成でも14万4800円だったので、だいぶ買いやすくなり、さらに幅広いユーザーが入手できるようになったことは歓迎したい。最小構成だけでなく、各種キャンペーンによって、ぜいたくなハイスペック構成でもかなり買いやすくなっている。
例えば、最小構成からCPUをCore i7-2640Mに、メモリを8Gバイトに強化し、フルHD液晶パネルと256GバイトSSD RAID 0を選択し、LTE対応の無線WAN、WiMAXまで付けても18万9800円と20万円を切る。この場合、ドッキングステーションは付かないが、必要になったら後から購入することも可能だ(ドッキングステーション単体購入の場合、カラーはブラックのみ)。
そもそも、13型クラスでこんな付加価値を備えたモバイルノートPCはほかにない。高解像度かつ広色域の液晶ディスプレイや超高速なSSD RAID 0、あるいはGPUパフォーマンスを強化できるドッキングステーション……、このいずれか1つにでも魅力を感じるユーザーならば、今すぐにでも飛びつきたくなるのではないだろうか。
2012年後半にはIntelの次世代CPU(開発コードネーム=IvyBridge)を搭載したノートPCが多数出てくると見込まれている。1年近く待てば、これより安い価格でもっとCPU性能の高いノートPCが登場してくるかもしれない。
しかし、これほどの付加価値を備えた製品は、やはり次のVAIO Zでしかない、のではないだろうか。より高度に進化するだろう未来のVAIO Zがこのような価格で買えるとは限らない。ノートPCの購入タイミングとしては、少し微妙な時期であることを承知のうえで、積極的に購入を検討する価値のある製品だ。
・次回記事→高級モバイルノート×LTEの実力は?:「VAIO Z」のLTE内蔵モデルで“Xi”を試す
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